IT関連製品201品目で2024年1月までに関税撤廃へ、WTOのITA拡大交渉が妥結製造マネジメントニュース

経済産業省は2015年12月17日、ケニア・ナイロビで開催されている第10回WTO閣僚会議において、ITA拡大交渉が最終妥結したことを発表した。参加53カ国・地域におけるIT関連201品目の関税は最終的に2024年1月までに完全撤廃される。

» 2015年12月17日 15時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 経済産業省は2015年12月17日、ケニア・ナイロビで開催されている第10回WTO(世界貿易機関)閣僚会議において、WTO情報技術協定(ITA)拡大交渉が2015年12月16日(現地時間)に最終妥結したことを発表した。

 ITA(Information Technology Agreement)とは、1996年12月、WTOシンガポール閣僚会議において、29カ国・地域(日、米、EU、カナダ、韓国、インドネシア、シンガポールなど)が合意した情報技術関連産品(コンピュータ、計算機、電話、ファクシミリ、記憶媒体ディスク、ディスプレイなど144品目)の関税撤廃に関する閣僚宣言(正式名称「情報技術製品の貿易に関する閣僚宣言」)である。1997年に発効され、現在は中国、インド、ロシアなども加わり82カ国・地域が参加している。

 ITA拡大交渉とは、この関税撤廃品目を拡大しようというもので、参加メンバーは、日本、米国、EU(+28カ国)、台湾、韓国、コスタリカ、マレーシア、豪州、カナダ、タイ、ノルウェー、中国、スイス、リヒテンシュタイン、シンガポール、香港、フィリピン、ニュージーランド、イスラエル、モーリシャス、モンテネグロ、グアテマラ、アイスランド、アルバニア、コロンビアの53カ国・地域となる。

3年以内に90%以上の品目で撤廃、1700億円の関税削減効果

 ITA拡大交渉は、2015年7月に追加関税撤廃対象となるIT関連製品201品目において合意。デジタルAV機器、デジタル複合機・印刷機、半導体製造装置、新型半導体(複数の集積回路を組み合わせて、1つのパッケージとした半導体製品)、通信機器、医療機器などの品目において新たに関税を撤廃する方針を定めた。

 今回の最終妥結により、2016年7月1日から関税撤廃が順次開始され、3年以内にタリフライン(関税率表の細目)ベースで53カ国・地域における全体の90%以上の品目の関税を撤廃する。2024年1月には、201品目の関税が53カ国・地域全てで完全に撤廃される予定だ。

 これらの新たに関税が撤廃される201品目の世界貿易額は年間約1兆3000億ドル(約159兆円)にのぼり、世界貿易額の約10%に該当するという。また、201品目における、ITA拡大交渉参加メンバーの貿易取引額は世界全体の約90%に相当し、事実上ほぼ無関税での取引体制が実現することになる。

 一方で日本からの201品目の対世界輸出額は約9兆円に上り、今回の妥結により、交渉参加メンバーの関税が撤廃されれば、約1700億円の関税削減効果が期待できるという。

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