「IoTを丸投げしたい」が予感させる、主役の交代電子機器設計/組み込み開発 メルマガ 編集後記

「つながる」ことが当たり前になると、求められるモノにも変化が起きます。「企業は技術そのものやビジョンではなく、今使えるソリューションを求めている」というコメントは非常に示唆的です。

» 2015年12月21日 11時00分 公開
[渡邊宏MONOist]

 この記事は、2015年12月21日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたMONOist/EE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。


 2015年のET展(組込み総合技術展 Embedded Technology 2015)は、新たにIoT総合技術展「IoT Technology 2015」を併催して行われました。ET展は組み込み技術の総合技術展示会というスタンスで開催されており、前回、前々回から“つながる”ことを強調した技術展示が多く行われていました。しかし、今回は少々、様相が異なりました。

ET2015でアットマークテクノが展示していた、PLCの一元管理ソリューション ET2015でアットマークテクノが展示していた、PLCの一元管理ソリューション。ゲートウェイに同社製を利用し、クラウドには東海ソフトの「FlexDevice」を利用することで実現している

 「産業用バーコードスキャナーをIoTのエンドデバイスとして、データをクラウドで管理する」「ゲートウェイとクラウド上の変換ソフトを用いて、PLCをメーカー問わずで一元管理する」といったように企業間を越えた連携によってどのようなメリットを得られるかを紹介する展示が多く行われていたのです。

 そう、関心は「つながるか」から「つなげてどうするか」に移りつつあります。組み込み機器でもつながることが当たり前になれば、次はどのようにして活用するかが主題となるのは自明の理ですが、活用とは課題の解決を意味します。「課題の解決」から思考を開始すると、製品や技術を出発点とする考え方が馴染まないのは自然です。

 すると、どうなるでしょうか。

 要望を満たすシステムを作り上げることが目的になりますから、センサーはA社の製品、マイコンボードはB社の製品、マイコン上で走る組み込みOSはC社、ゲートウェイはD社、クラウドはE社……と要望に応じての各社の製品(部品)を選択と、それらをまとめあげるシステム開発が求められることになります。その開発は必然として、組み合わせの手法を取ることになり、個別開発の必要性は小さくなるでしょう。

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