ドライバーが運転で疲れにくくなるタイヤ、ブリヂストンが開発タイヤ技術(2/3 ページ)

» 2016年01月12日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

ステアリングの微調整が不要なタイヤとは

 直進/旋回/車線変更でのステアリングの微調整を低減するため、タイヤ踏面のパターンや形状を工夫して車両のふらつきを抑制した。踏面のパターンは、外側に高剛性のショルダーブロックを採用し応答性を高めるとともにふらつきを抑える。踏面の中央には「クロスリーフカットグループ」を施し、小さい操舵角でドライバーの思い通りに旋回できるようにしている。また、踏面の両側の「ラウンドリブエッジ」がグリップ力を高めている。

 タイヤの内側と外側を異なる形状とすることにより直進安定性も高めた。

 ステアリングの微調整自体は大きな操舵角ではないが、こうした技術により「実際に運転すると少ない操舵角で安定して走れることを実感してもらえる」(山口氏)という。

「Playz PXシリーズ」で行ったタイヤ踏面のパターンや形状の工夫。直進安定性が向上し、小さい操舵角での運転が可能になった 「Playz PXシリーズ」で行ったタイヤ踏面のパターンや形状の工夫。直進安定性が向上し、小さい操舵角での運転が可能になった (クリックして拡大) 出典:ブリヂストン

 上記の特徴は、セダン/クーペ用のPlayz PXとミニバン用の「Playz PX-RV」、軽自動車/コンパクトカー用の「Playz PX-C」で共通だ。さらに、車両タイプ特有の疲労の原因を解消するため、Playz PX-RVとPlayz PX-Cには工夫が追加されている。

 ミニバンは、多人数が乗車するため、コーナリングや車線変更でのふらつきが大きくなる傾向がある。そのため、ミニバン用のPlayz PX-RVは、タイヤ内側のブロック剛性を高めるとともに、タイヤのゴムが変形する力を逃がす「ティアドロップスロット」という加工を施した。これにより、車線変更でのふらつきと揺り戻しが同社のミニバン用低燃費タイヤ「ECOPIA EX20 RV」と比べて小さくなる。

「Playz PX-RV」で追加した構造。ふらつきが大きくなるミニバン向けに専用設計した 「Playz PX-RV」で追加した構造。ふらつきが大きくなるミニバン向けに専用設計した (クリックして拡大) 出典:ブリヂストン

 一方、軽自動車は全高が高いハイトワゴン系はふらつきが大きくなる。軽自動車/コンパクトカー用のPlayz PX-Cは、セダン/クーペ用のPlayz PXでタイヤ外側に配置していた高剛性ショルダーブロックを内側にも設け、さらにタイヤ側面の再度ウォール部を強化することにより、ふらつきを抑制した。高剛性のショルダーブロックは耐偏摩耗にも効果があり、同社の軽自動車/コンパクトカー用低燃費タイヤ「ECOPIA EX20 C」と比較して耐偏摩耗性を33%向上している。

「Playz PX-C」で追加した構造。ふらつきやすく偏摩耗しやすい軽自動車の傾向に対応した設計 「Playz PX-C」で追加した構造。ふらつきやすく偏摩耗しやすい軽自動車の傾向に対応した設計 (クリックして拡大) 出典:ブリヂストン

 Playz PXシリーズは低燃費性能や耐摩耗性も犠牲にしていない。トレッドゴムは独自の材料技術により、ぬれた路面での滑りにくさや摩耗性を向上した。また、偏摩耗を抑制し、耐摩耗性向上やフラットな接地を実現する踏面パターンにより、同社の低燃費タイヤ「ECOPIA EX20」と比較してPlayz PXは、摩耗寿命を10%向上しながら同製品と同等のウエットブレーキ性能を実現した。転がり抵抗もECOPIA EX20対比で同等のAA〜Aという性能グレードを確保している。

「Playz PXシリーズ」は疲れにくさを実現しながら低燃費性能や耐摩耗性も犠牲にしない 「Playz PXシリーズ」は疲れにくさを実現しながら低燃費性能や耐摩耗性も犠牲にしない (クリックして拡大) 出典:ブリヂストン

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