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» 2016年01月14日 08時00分 UPDATE

オートモーティブワールド2016:遠赤外線カメラのコストを半減する光学レンズ、住友電工が開発

住友電気工業とCBCは、自動車技術の展示会「オートモーティブワールド2016」において、遠赤外線カメラのコストを半分以下に低減する新開発のレンズを展示した。高価なゲルマニウムが必要な従来の構造を見直した。夜間の歩行者検知が求められる車載用カメラでの採用を狙う。

[齊藤由希,MONOist]

 住友電気工業とCBCは、「オートモーティブワールド2016」(2016年1月13〜15日、東京ビッグサイト)内の「第4回コネクティッド・カーEXPO」において、遠赤外線カメラのコストを半分以下に低減する新開発のレンズを展示した。夜間の歩行者検知が求められる車載用での採用を狙う。

写真右がコストを半分以下に低減する遠赤外線カメラ用レンズ。左は反射防止コートを施しただけの従来のレンズ 写真右がコストを半分以下に低減する遠赤外線カメラ用レンズ。左は反射防止コートを施しただけの従来のレンズ (クリックして拡大)

 欧州の予防安全アセスメント「Euro-NCAP」は、2018年から試験基準の1つに夜間の歩行者検知と衝突回避を加える。住友電気工業とCBCは夜間の撮影に優れた遠赤外線カメラの搭載拡大を見込んでいる。

 従来の遠赤外線カメラは、飛び石や酸性雨などからレンズを守る保護窓を使用する。保護窓の材料はレアメタルで強度の高いゲルマニウムが主流だ。表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コートを施して耐候性を確保する。

 ゲルマニウムの産出国は中国が中心でカントリーリスクを避けられない。また、ゲルマニウムの加工は精密切削が必要となり、大量生産には不向きだ。このため、ゲルマニウム製の保護窓を使用する従来のままの遠赤外線カメラは、車載用での普及が難しいという。

 そこで、住友電気工業はゲルマニウムと同等の強度がある硫化亜鉛を保護窓ではなくレンズそのものに採用した。硫化亜鉛は材料コストが安く、加工もしやすい。レンズ自体の強度を高めて保護窓を省略することで、カメラハウジング自体の小型化も可能になる。

従来の遠赤外線カメラはゲルマニウム製の保護窓がコストを押し上げていた。このコストを新開発のレンズで低減する 従来の遠赤外線カメラはゲルマニウム製の保護窓がコストを押し上げていた。このコストを新開発のレンズで低減する (クリックして拡大) 出典:CBC

 硫化亜鉛はカメラのレンズとして使用すると解像度が下がるのが課題だった。これに対し、住友電気工業は表面に細かな段差をつけるモールド成形技術を開発して解像度を高めた。レンズ表面にDLCコートを施して耐候性も確保している。今後、車載仕様での耐久試験を進めていくとしている。

 CBCは監視カメラや光学レンズなどを取り扱っており、監視システム用遠赤外線カメラの製品化と販売で住友電気工業と提携がスタートした。

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