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» 2016年01月22日 10時00分 UPDATE

実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(9):原価低減に欠かせない科学的アプローチを学ぶ【後編】 (1/5)

革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、3回にわたり「原価低減推進のために必要な科学的アプローチの手法」についてお伝えしています。後編となる今回は「ワークサンプリング法(WS法)の基礎理論」と「人−機械分析表」について解説します。

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,MONOist]
原価低減

 IE(Industrial Engineering)を基に、革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について分かりやすく解説する連載「実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法」ですが、第7回から3回にわたり「原価低減推進のために必要な科学的アプローチの手法」について解説しています。

 前回はその中で「ワークサンプリング法(WS法)」について紹介しました。今回はさらにこのワークサンプリング法の基礎理論について説明します。基礎理論を完全に理解することで、さまざまな工夫が生まれ、その応用範囲も拡大し、新たな発展につなげていくことが可能となります。

 さらに、効果的なもうひとつの科学的手法として、複式活動分析の中で、最も活用頻度の多い「人−機械分析表(Man-machine Chart)」について、本テーマの最後の手法として説明します。「人−機械分析表」は、機械設備の多数台持ちの効率について分析し、最適解を見いだすための手法ですが、多くの企業では機械設備の多数台持ちは、思い付きによる不安を抱えながら実施されているのが実情です。これを機会に、「人−機械分析表」を活用して、人と機械の複式作業の稼働効率を上げて頂きたいと思います。



ワークサンプリング法の概要

 前回もワークサンプリング法については解説しましたが、あらためて概要のおさらいをしておきます。

 「ワークサンプリング法」は「無作為に決定した時刻に、その瞬間の調査対象の稼働内容を観察して、その回数を合計して発生比率を求める」という考え方に基づく手法です。データの信頼度は「調査しようとする項目の期待し得る発生比率がどの程度の信頼度であれば十分であるのか」を観測目的や精度を考慮して決定します。一般的には、95%の信頼度があれば十分だとされています。

 観測時刻は、無作為性を保って決定しなければなりません。無作為性が欠如すると、観測結果に偏りが生じてしまいます。まず1回の巡回(観測)に要する時間を参考にして、基になる等間隔の時刻表を作成します。実際の観測期間中の日々の観測時刻は乱数表などを用いて等間隔の時刻表から無作為に選び出し1日の観測時刻を決定し“無作為(ランダム)観測時刻表”を作成する方法が一般的です。「ワークサンプリング」法は瞬間調査と呼ばれるように瞬間的観察が絶対条件です。

 「ワークサンプリング法」は、人や機械の活動の状況を統計的に把握する測定方法です。この観測結果により、人や機械の状況を数値で捉えることができ、改善の糸口を容易に見いだすことが可能になります。そのため、用途も広く、改善すべき課題の検討、標準時間の設定や改善成果の確認など、広範囲に適用することができるので、現場の状況を感覚的に判断するのではなく、科学的根拠に基づいて大きな改善成果を導き出してください。「ワークサンプリング法」は、実際的で便利な技法ですので、繰り返し活用して完全に自分のものにしていって欲しいと思います。

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