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» 2016年01月22日 10時00分 UPDATE

CAEイベントリポート:「とにかく前倒しでCAEやったら何とかなるんちゃうの?」――本当のフロントローディングとは (1/4)

MONOist主催「CAE カレッジ フロントローディングを実現するための設計者CAEとクラウドの活用」で、オムロン 岡田浩氏は同社における設計者CAEとフロントローディングの考え方や、人材育成体制について語った。

[小林由美,MONOist]

 MONOist編集部は2015年11月27日、セミナー「CAE カレッジ フロントローディングを実現するための設計者CAEとクラウドの活用」を開催した。基調講演ではオムロン グローバルものづくり革新本部 生産技術革新センタ 要素技術部 技術専門職 技術士(機械部門) 岡田浩氏が登壇し、同社におけるCAE適用事例や2020年を見据えたCAE推進戦略などについて講演した。岡田氏は1991年にオムロンに入社して以来、メカ系CAEの活用推進や技術サポートや生産技術開発に従事してきた。現在、同社全体のCAE活用・推進戦略の策定を担当する。

yk_omroncae_000.jpg オムロン グローバルものづくり革新本部 生産技術革新センタ 要素技術部 技術専門職 技術士(機械部門) 岡田浩氏

 本稿ではその講演内容の一部をお届けする。

全社的なCAE活用を展開するオムロン

 「オムロン」といえば、血圧計や体温計を連想する人が多いかもしれない。ただし、それら健康機器は同社売り上げ全体のうちの1割である。約4割と多くを占めているのが工場自動化用の制御機器関連だ。同社は世界初(同社)の自動改札機や自動券売機を開発したメーカーとしても知られている。

 岡田氏が在籍するグローバルものづくり革新本部(以下、GMI)は本社の組織で、中国、アジア、米国、欧州といった海外拠点も含めたオムロン全社のモノづくりに関わる機能を担当している。

yk_omroncae_01.jpg オムロンの組織形態とグローバルものづくり革新本部(出典:オムロン)

 GMI内でCAEが関わる事業部としては、「生産技術革新センタ」「開発プロセス革新センタ」がある。岡田氏が在籍する前者は自動化技術や射出成形、超精密金属加工、材料技術など「モノを作る(生産)」の部分を支援し、後者は開発力強化や開発支援技術を担当し、それぞれの部門でCAEを活用している。生産技術革新センタでは、CAEを用いて金属加工や射出成形、実装工程などの挙動解明や自動機開発を行い、低コスト生産を目指している。電磁場と熱の連成解析にも取り組む。一方、開発プロセス革新センタでは設計上流におけるCAE活用で、商品開発期間の短縮を加速することを目指し、CAEによる設計改善の提案や受託解析、CAEシステムの全社統合や人材育成を担当している。「2部門は役割分担しているものの、仕事を完全に切り分けるのは難しいため、常にタッグを組んで動くことが多い」(岡田氏)。

 現在のオムロンにはCAE推進部門がなく、全社プロジェクトとしてCAE活用推進を展開している。かつての同社にも推進部門が存在した。しかし従来通りの取り組みでは、CAE活用がフロントローディングへ十分効果を発揮しているとはいえなかったという。設計・生産など、各組織の技術開発テーマからの依頼に基づくCAE実施、いわゆる受託型解析が主であり、CAEによる問題つぶしはまさに「モグラたたき」をやっているにすぎず、問題の根本にアプローチし切れていなかった。「当時、経営層に対して費用対効果を分かりやすく説明するのが困難だった」(岡田氏)。

 そのため推進部門を一度解散し、2006年度より現在の組織体制となり、2011年から同社の長期ビジョン(Value Generation 2020)の下、全社戦略テーマとしてCAE活用・推進を実行している。

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