産業用ロボットのIoT化を加速させるファナック、シスコと協業し非稼働時間ゼロに産業用ロボット(3/3 ページ)

» 2016年01月22日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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実証試験では米国自動車工場でダウンタイムゼロに

 ファナックとシスコシステムズでは今回の発表に先立ち、北米大手自動車メーカーで12カ月間に渡ってゼロダウンタイム(ZDT)パイロットプロジェクトを実施。期間中の、生産設備や産業ロボットのダウンタイムをほぼ100%削減することに成功したという。データセンターに集約したデータの解析により、故障を予知し故障部品を故障前に交換するということを実現する。既に同メーカーには産業用ロボットを3000〜4000台を導入し、ゼロダウンタイムソリューションの導入を拡大しているという。

 また産業用ロボットのダウンタイム削減だけでなく「導入初期に産業用ロボットの稼働状況を見ていると、非常停止の回数が非常に多いということが分かった。そのさまざまな理由を探っている内に、現場の作業員がライトカーテンを理解しておらずそこを横切ることで非常停止が起こっていたことが分かった。作業員教育を再度徹底することで産業用ロボットの稼働率向上だけでなく、工場全体の稼働率向上にもつなげることができたという例もある」と稲葉氏は説明する。

 同ソリューションについては、米国では既に展開を開始しているが、日本国内についても2016年夏から秋にかけてサービスを開始するという。

今後のポイントは人工知能とCNC

 今後については、同サービスの解析など「人の力で作業を行っている部分を人工知能に置き換えていきたい。問題点の検出なども人工知能などのソフトウェア技術で検出できるようにしていく」(稲葉氏)という。ファナックでは既に機械学習領域において、Preferred Networks(PFN)と提携して開発を進めており、国際ロボット展では熟練技術者のスキルを8時間で獲得できるという機械学習ロボットを披露している(関連記事)。また、今回は産業用ロボットを対象としたが、今後はCNCのIoT対応なども広げていき、工場全体の稼働率を向上させるような取り組みを進めていくとしている。

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