炭素繊維強化熱可塑性樹脂のボディは重さ47kg、走行可能な試作車も開発オートモーティブワールド2016

帝人は、「オートモーティブワールド2016」において、熱可塑性樹脂を用いる炭素繊維複合材料「Sereebo」で製造した自動車のホワイトボディを披露。このホワイトボディを使って走行可能な車両も試作している。

» 2016年01月22日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 帝人は、「オートモーティブワールド2016」(2016年1月13〜15日、東京ビッグサイト)内の「第2回自動車部品加工EXPO」において、熱可塑性樹脂を用いる炭素繊維複合材料「Sereebo」で製造した自動車のホワイトボディを披露した。このホワイトボディを使って走行可能な車両も試作している。

帝人が展示した「Sereebo」製のホワイトボディ 帝人が展示した「Sereebo」製のホワイトボディ(クリックで拡大)

 自動車の構造部材における炭素繊維強化樹脂の採用は拡大している。しかし車両プラットフォームに炭素繊維強化樹脂を幅広く用いているのは、Ferrari(フェラーリ)やLamborghini(ランボルギーニ)、Mclaren Automotive(マクラーレン)などのスーパーカー、BMWの「iシリーズ」など一部の高級車に限定されているのが実情だ。

 これらの高価な車両の炭素繊維強化樹脂製プラットフォームは、金型に封入した炭素繊維の織物(繊維プリフォーム)に熱硬化性樹脂を注入するRTM(Resin Transfer Molding)法で製造することが多い。RTM法は製造時間(タクトタイム)が長くなりがちなため、どうしても製造コストが高くなり、安価な車両への採用は難しくなる。

 これに対してSereeboは、熱可塑性樹脂と、等方性基材/一方向性基材/射出成形用炭素長繊維を組み合わせて炭素繊維複合材料を成形できる。タクトタイムは、RTM法が数分〜数十分なのに対し、Sereeboは1分と極めて短い。一体構造で成形できるため高い剛性も確保でき、熱硬化性樹脂の炭素繊維強化樹脂で課題となっているリサイクル性も良好だ。

 展示したSereebo製のホワイトボディは2人乗りサイズの車両のもので重量は47kg。さらに、このホワイトボディにモーターや電池などを搭載して走行可能な車両を試作し、その走行映像なども披露していた。

「Sereebo」製ホワイトボディを用いた試作車両の走行映像「Sereebo」製ホワイトボディを用いた試作車両の走行映像 「Sereebo」製ホワイトボディを用いた試作車両の走行映像も披露した(クリックで拡大)

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