連載
» 2016年01月25日 10時00分 UPDATE

3D設計推進者の眼(6):設計者教育と3D CAD (1/3)

機械メーカーで3次元CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は設計者教育と3D CADについて語る。

[土橋美博/飯沼ゲージ製作所,MONOist]

 前回は「設計者には、CADの操作スキルも必要だと私は考える」とお話ししました。「CADが使える=設計ができる」ということを言っているのではありません。私のような装置産業また中小企業においては、設計者が自ら使用するツールが3D CADである以上、そのスキルも設計者教育の一部であるということを言いたいのです。

 私が言う「設計者」とは、CADオペレータでもトレーサーでもありません。「設計とは何か」「設計者とは何か」と言えば、「顧客や市場の要求に基づき、アイデアを具現化する仕事、あるいはそれを行う技術者」のことであって、そこには品質・コスト・納期における最適化を図るプロセスを伴うと私は考えます。「プロセスを伴う」と言ったのは、設計者の業務は、仕様書や計算書、部品表の作成などさまざまな作業が伴い、2D図面や3Dモデルを作成することもそれらの業務の一部です。つまり、この3D CADを運用できることも仕事の大切な一部となるわけです。

 3D CADは2D CADに比べれば、操作は複雑になり、操作時間も増えることは前回もお話ししました。ただし機械設計で作成するパーツは、直方体や円柱、板といった形状がほとんどであり、自由曲面はそれほど多くはありません。またパーツに開けられる穴も、ねじ穴、キリ穴、座グリ穴などで、形状としては円や長円など単純なものが多くを占めます。これらの組み合わせで作成するサブアセンブリや、さらに上位のアセンブリも、前回お話ししたようなブロックを積み上げていく感覚です。

 機械設計での活用においては、例えば欧米系ヒストリーベースの3D CADが持つ機能の全てを使用しているわけではなく、一部の機能だけを使用しているといっても過言ではありません。ですので、全ての操作方法を覚える必要もなく、複雑というわけではないと私は考えています。

 例えば、金型設計者ならサーフェス機能やモールド機能を、自由曲面を扱ったりデザインを行ったりする設計者ならサーフェイス機能を、板金設計者ならシートメタル機能を理解する必要はあります。しかし産業機械を設計する機械設計者は、一般的にはこれらの機能は重要視しなくても良い機能でしょう。

 日本製のノンヒストリーベースの機械系3D CADでは、パーツ設計やアセンブリ設計に特化した機械設計者向けに作られていますので、操作に困ることほとんどないと思います。

 ちなみに50歳を超えた私ですが、欧米製と日本製の2種類の3D CADを使用しています。それぞれ操作画面やマウスアクションなどの違いがあり、戸惑うこともいくらかはありますが、問題なく使用できています。多くの機械設計者の皆さんが問題なく使えるのではないでしょうか。

 もちろん3D CADを使うにあたっては、操作トレーニングは必須だと考えます。私自身も初級、中級、上級へと段階的にその操作方法を学んできています。会社はトレーニングマニュアルの購入やトレーニング講習の費用を負担することになりますが、操作に熟知した方々に教えてもらうことは、3D CADのコンセプトとなる標準的な使用方法を習得するには非常に効果的です。独学や自己流の使用方法よりも、ちゃんとトレーニングを受ける、またはトレーニングを受けた人が社内展開を行うことの方が、はるかに近道になるのではないでしょうか。

 今日では、工業高校や高専・大学で3D CADを学んだり、3D CADの認定試験を受ける人もいると聞いています。将来、このような教育を受けた方々が企業に来ることになるでしょう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.