第47回 内部ディスプレイ接続規格前田真一の最新実装技術あれこれ塾(3/4 ページ)

» 2016年01月28日 01時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]

4.V-by-One HS(V-by-One)

 V-by-Oneはザインエレクトロニクス(THine Electronics)がLVDSに代わるディスプレイ用伝送規格として発表した規格です。

 LVDSは3組のビデオ信号とクロックの4レーン1組の差動シリアル信号が必要で、高速化に対して、4レーン単位で配線を増やす必要があります。V-by-Oneは1チャンネル(レーン)だけでビデオ信号を送るため、4レーン単位で高速化に対応していたLVDSに対して、1、2、4、8、16、32とレーン数の自由度が高くなります。伝送速度は1チャンネル当たり最大105〜850MbpsでLVDSとあまり違いはありませんが、8ビット−10ビット変換による埋め込みクロック方式(図9)を採用し、データ同期を簡素化しています。

図9:埋め込みクロック

 必要に応じてnチャンネルを並列に接続し、必要なデータ転送速度を実現します(図10)。

図10:V-by-One、レーン数の増加

 データ転送速度は可変にして、速度を遅くすることで、消費電力を低減できます。

 ザインエレクトロニクスは2008年にPCI Expressで使用しているイコライザ機能(エンファシス)(図11)を使って、V-by-One規格を高速化したV-by-One HS規格を発表しました。

図11:エンファシス

 最新版は2011年のVersion 1.4で転送速度は1チャンネル当たり、0.6〜4Gbps(8bit−10bit変換のため、実行データレートは3.2Gbps)です。

 例えば、LVDSでは96組の差動配線が必要なデータ転送容量をV-by-One HSでは16組の差動配線で実現できます。ライセンスは無料で、ザインエレクトロニクスはV-by-One HSに関係する技術のライセンスやICを販売するビジネスモデルを展開しています。V-by-One HSを基にした技術としては、V-by-One HS で受信した画像データを液晶ドライバへ伝達するCalDriCon (図12)や車載機器用のeDriConなどがあります。

図12:CalDirCon

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