新型「Eクラス」は「Sクラス」に比肩、ダイムラーが2016年も攻勢へデトロイトモーターショー2016 ダイムラーナイトレポート(1/4 ページ)

ダイムラーは「デトロイトモーターショー2016」の前夜祭イベント「ダイムラーナイト」で、2016年内に投入する新型「Eクラス」を披露した。自動車ジャーナリストの川端由美氏による、同前夜祭のレポートと新型Eクラスの詳細をお送りする。

» 2016年02月03日 10時00分 公開
[川端由美MONOist]

 自動車業界のニュー・イヤー・パーティーとの異名を取る「北米国際自動車ショー(通称:デトロイトモーターショー、以下、デトロイトショー)」だが、近年は、地元のデトロイト3(General Motors、Ford Motor、Chrysler)の地盤沈下を受けるとともに、米国/ドイツの自動車メーカーに加えてHyundai Motor(現代自動車)とトヨタ自動車が出そろうようになった消費者向けエレクトロニクス展示会「CES」にその立場を譲った感があった。

 ところが2016年は、米国の好景気を反映してか、事前に予想された以上の盛り上がりを見せた。今回のデトロイトショーのレポートは別途お送りするとして、ここではDaimler(ダイムラー)がデトロイトショーの前夜に開催した「ダイムラーナイト」についてレポートしよう。

あえて今、ディーゼルパワートレインの増産に踏み切る自信

業績を説明するダイムラーのディーター・ツェッチェ氏 業績を説明するダイムラーのディーター・ツェッチェ氏 (クリックして拡大) 出典:ダイムラー

 日本で15年ぶりに輸入車ナンバーワンの座を奪還したMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)ブランド。世界的にも好調で、2015年はグローバルで前年比13.4%増、NAFTA(北米自由貿易協定)地域で同5.2%増もの成長を果たした。

 ダイムラーナイトに最初に登壇したのは、同社CEOのディーター・ツェッチェ氏だ。ダイムラー・クライスラー時代に北米のCEOとしてデトロイトに駐在した経験の持ち主であり、ドイツ自動車メーカーの中でも特に米国市場への理解が深い。また、過去に乗用車部門の開発および設計を率いた経験に加えて、南米の関連会社のトップも歴任している。現在のダイムラーをあらゆる角度から知る人物だ。

 「2015年にはサーキットでも、市場でも、メルセデス・ベンツは大活躍だった。グローバルで13%増の成長を果たし、NAFTA地域全体でも成長した。この成長は今後の大きなプランに向けて、重要な布石となる。5億米ドル以上を投じて、デトロイト郊外にある商用車向けのトランスミッションやエンジン生産工場の体制を強化していく。現在でも2000人以上の雇用があるところに、さらに300人の雇用を追加する。このことは乗用車ブランドにもよい影響を与えることになるだろう」(ツェッチェ氏)。

 商用車と乗用車の違いはあるが、Volkswagen(フォルクスワーゲン)のディーゼルエンジンでNOx排出量不正問題が起こったあと、ドイツ製品への嫌疑がかかった感も否めない。そんな中、あえてこの時期にディーゼルパワートレインの増産に向けた投資を宣言するのは、同社のディーゼルエンジン車が北米の基準をクリアしていることへの信頼と、自社ブランド力への自信の現れだろう。

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