デジタルツインを実現するCAEの真価

「ないと困るなら、復活させればいい」――本当に役に立つCAEの導入方法とはCAE事例(3/4 ページ)

» 2016年02月17日 10時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

各事業部の技術課題を元に全社展開

 岡田氏らは、他の事業部でも使えるようなノウハウを全社に展開したり、会社全体としてのCAEの技術戦略を作成したりといったことを行っている。どこの事業部にどのような課題があり、どんな技術が必要かをマッピングして、それぞれに活用を展開していく。

 例えばスイッチであれば、FA制御盤やPCに内蔵されているもの、自動車のパワーウィンドウに使われているものなどがある。それぞれ仕様は違うが、工学的な概念は共通している。そのため強度解析や構造解析では同じような手法を展開していける。

生産向けCAEと商品開発向けCAEの相互連携も図っている(出典:オムロン)

 解析の方法は手順書に落とす場合もあれば、それだけでは分かりにくいのでワークショップを開く場合もあるという。現場の設計者に実際に困っている課題を持ってきてもらい、解析モデルを作って結果の解釈の方法などをレクチャーする。このワークショップでも、CAEの専門家は現場の詳しい状況を知ることができ、現場にとってはCAEの新しい使い方を知るという相乗効果があるという。

ワークショップの活動内容(出典:オムロン)

 ただ、出向やワークショップだけでは十分に現場の経験が積めない面もあるそうだ。そこで「もう一度CAEをやれる人材を現場にばらまくというのをやってもいいかと思っています。やはり現場を見ないと分からない部分も多い。推進部門を解体するか、全社を見る人材を減らして現場近くにいる人材を増やすか、そういったことも考えないといけないのかなと思います」(岡田氏)。

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