生産ラインの検証作業を75%低減、変種変量生産を支援する仮想検証技術FAニュース(1/2 ページ)

三菱電機は、FAコントローラー内で部品やセンサーの動きをシミュレーションする仮想化技術を用い、生産ラインの検証作業を最大で75%削減可能な検証技術を開発した。

» 2016年02月18日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 三菱電機は2016年2月17日、研究開発成果披露会を開催。その中で新たな技術として「次世代ものづくり検証技術」を紹介した。「次世代ものづくり検証技術」は生産ライン構築時に仮想空間上で不具合を起こし、その復旧方法などを織り込んでプログラム開発などが行えるようにする技術である。

photo 「次世代ものづくり検証技術」のデモの様子

 従来の生産ライン構築では、テストの仕様をもとに生産ラインのプログラム構築などを行った後に実際の現場でラインを構築し、ワークを実際に流しながら動作検証を行い、手作業で調整を行っている。そのため、この調整時間に非常に多くの手間や時間が必要となり「変種変量」を求められる生産現場にとって大きな負担となっていた。

 新技術はこれらの課題を解決するためのものである。生産ラインのテスト仕様を構築した際に、生産ラインシミュレーター上で部品詰まりなどチョコ停の原因になるようなエラーデータを入れて仮想空間上でわざと流し、想定し得る問題の状態をあえて作り出す。それにより、テスト環境上で「ラインを止める」や「つまったワークを取り除く」などの作業を、あらかじめプログラムすることを可能とし、実際の生産ラインを構築した後の動作検証時間を大幅に削減することに成功した。これにより現場での調整機関は最大で75%削減することが可能だという。

photo 次世代ものづくり検証技術の概要 出典:三菱電機
photo 次世代モノづくり検証技術による作業時間低減の内訳 出典:三菱電機

 新技術の特徴が、これらのシミュレーション技術を、パソコンではなくFAコントローラーのみに入れられる点である。パソコンのような大規模な演算能力がなくても必要十分なソフトウェア規模の抑えることに成功した。「新技術はFAコントローラーで十分に機能する規模に抑えることができたことが特徴である。FAコントローラーに搭載することでリアルタイム性を確保できるため、実際の生産ラインの動作と合致させてシミュレーションを行うことができる」と担当者は述べている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.