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» 2016年03月01日 10時00分 UPDATE

クルマから見るデザインの真価(9):自動車用ホイールとデザインの深イイ関係 (1/4)

路面に接しているタイヤと車体をつなぐホイールは、自動車部品の中でも重要なパーツだ。走行に欠かせない機能部品であると同時に、ファッション性を含むスタイリング要素も求められるパーツでもある。「東京オートサロン2016」で披露された数多くのホイールを眺めつつ、ホイールとデザインの関係を見ていこう。

[林田浩一/林田浩一事務所,MONOist]

 自動車業界における新年のスタートイベントは、ワールドワイドでは「デトロイトモーターショー」、日本国内では「東京オートサロン」といったところだろう。そんなことも関連するのか今回編集部から投げかけられたテーマはホイールだった。

 ホイールは自動車部品の中でも、言うまでもなく重要なパーツだ。路面に接しているタイヤと車体をつなぐものでもあるし、駆動力の出口であったり、走行時の路面状況をドライバーにフィードバックするセンサー的な役割もあったり、走行に欠かせない機能部品である。同時にファッション性を含むスタイリング要素も求められるパーツでもある。

 筆者もホイールデザインの仕事に関わることがあるが、ここ数年の間に、新しい素材や製造方法、サービスなども出てきていて環境の変化も感じる。今回は「東京オートサロン2016」(2016年1月15〜17日、幕張メッセ)の会場に並ぶたくさんのホイールを眺めつつ、ホイールとデザインの関係を見てみよう。

「東京オートサロン2016」で注目を集めるホイール 「東京オートサロン2016」で注目を集めるホイール。写真はレイズのプレミアムブランド「HOMURA」(クリックで拡大)

機能性から見たホイール

 「機能」ということでホイールを見ていくと、その主な構成要素は「強さ」と「軽さ」と「デザイン(意匠)」であろう。大昔の木製の車輪を使った荷車の頃から、それぞれの乗り物の目的によってこの3要素のバランスを少しずつ変化させてきたことで発展してきた。

 現代のクルマにおいても、車格やクルマのキャラクター、コストなどから3つの要素をにらみつつ、スチールのプレス成型によるものから、各種の軽合金ホイールまで、さまざまなバリエーションが存在する。MONOistのメイン読者層であるエンジニアの皆さんにはさほど新鮮ではないかもしれないが、素材や加工法別に幾つかのホイールの種類を挙げてみると次のようなものがある。

素材から

  • スチール
  • アルミニウム
  • マグネシウム
  • 超超ジュラルミン
  • CFRP(炭素繊維強化樹脂)

製造方法から

  • プレス
  • 鋳造
  • 鍛造
  • 切削
スチールホイールの例 スチールホイールの例。意匠性はセンター部の樹脂製ホイールカバーで対応している(クリックで拡大)

 プレスと溶接によって作られるスチールホイールに関しては、軽さやデザインよりコストに重きを置いたシーンで採用されるのが一般的だ。このこともあってか、ホイール/ディスク面は共通部品としてデザインされ、各モデルのキャラクターを表現する意匠性は、樹脂製ホイールカバーの装着で対応しているケースが多い。

 一方、自動車メーカーでの純正採用からアフターマーケット専用品まで広く採用されており、軽合金ホイールの主流となっているのが鋳造アルミホイールだ。これは、先の3要素に合わせて、コストバランスの良さや大量生産に向くといった要素によるところが大きい。

リムにCFRPを採用したホイール リムにCFRPを採用したホイール。共豊コーポレーションの参考出展(クリックで拡大)

 「強さ」と「軽さ」の面では、モータースポーツをはじめとした運動性能やドライブフィールの追求により、スチールから軽合金へと発展してきた面が大きい。しかし、燃費などのエネルギー効率が注目される近年では、スポーツ系のみならずあらゆるクルマで軽量化の重要さが増しているのはご存じの通りだ。

 運動性能を追求する度合いが高いクルマになるにつれて、素材選択は、アルミ合金からマグネシウム合金や最近製品化された超超ジュラルミンなどが選ばれ、製造方法も鋳造から鍛造になるという傾向が見られる。より軽くということでは、軽合金素材からCFRPへという動きも見られる。CFRPと軽合金の組み合わせや、全てCFRP製にしたフルカーボンのホイールも、ホイールメーカーや自動車メーカーでの研究開発が進んでいるし、重量の軽いオートバイなどでは既にCFRPホイールは製品化されている。クルマ用で製品化される日も遠くなさそうだ。

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