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» 2016年03月02日 09時52分 UPDATE

「学び続ける小さな人工知能」を実現する、組み込みボード「NVIDIA Jetson TX1」 (1/2)

NVIDIAは開発プラットフォーム「NVIDIA Jetson TX1」の国内販売を開始する。GPUによる画像処理はもちろんのこと、CUDAプラットフォームを利用することで実機にデプロイした後も学び続けるディープラーニングを構築できる。

[渡邊宏,MONOist]
「NVIDIA Jetson TX1」 「NVIDIA Jetson TX1」

 NVIDIAは2016年3月1日、同社が2015年11月に発表した開発プラットフォーム「NVIDIA Jetson TX1」の国内販売を発表した。菱洋エレクトロが販売代理店を務め、菱洋エレクトロは製品単体ならびカメラや拡張I/Oを搭載した開発キットを販売する。開発キットは2016年3月、モジュール単体は2016年上半期に販売を開始し、価格はいずれもオープン。米国ではボード単体が299ドル(1000個購入時)、開発キットが599ドルとなっている。

 このNVIDIA Jetson TX1は、64bit CPUであるARM Cortex-A57を核にした「NVIDIA Maxwellアーキテクチャ」を採用した開発プラットフォームだ。50×87mmとクレジットカード程度のサイズながらも256基のCUDAコアを搭載しており、GPUの処理能力は1TFLOP/sにも及ぶ。しかも消費電力は10ワット(W)に満たない。メモリは4GBのLDDR4メモリで、ストレージには16GBのeMMCを搭載する。対応OSはLinux for Tegraだ。

「NVIDIA Jetson TX1」開発キット 拡張ボードを含む「NVIDIA Jetson TX1」開発キット

 「ロボットやドローンの進歩は目覚ましく、いまは“自律”が要求される時代に突入しているが、自律とは対象を認識して自分を動かすことであり、そのためにはモノを見る機能と判断を下すためのディープラーニングが欠かせない」

米NVIDIA ジェッシー・クレイトン氏 「NVIDIA Jetson TX1」ボードを持つ米NVIDIAのジェッシー・クレイトン氏

 「ディープラーニングには膨大な計算能力が必要となるが、自律して行動するドローンやロボットが広帯域ネットワークに常時接続することは現実的ではない。強力なCPUを搭載するにしてもCore i7クラスでは消費電力が大きすぎる。そこで浮上するのがGPUを利用したコンピューティングであり、それをコンパクトに実装したのがNVIDIA Jetson TX1だ」(米NVIDIA Product Manager for Mobile embedded、ジェッシー・クレイトン氏)

 ディープラーニングについては学習をTITAN X GPUを4基搭載したワークステーション「NVIDIA Digits Devbox」など処理能力の高いCUDAプラットフォームで行い、モデルを構築した後にそのモデルをJetson TX1へ移し、映像など外部入力からの推論をJetson TX1から出力するという利用が可能だ。また、推論の結果をNVIDIA Digits Devboxなどへフィードバックすることも可能となっており、学習と実装を繰り返すことでより判断精度の高い自律機構を構築できる。

実機への実装後にもCUDAプラットフォームによって学習を継続できる 実機への実装後にもCUDAプラットフォームによって学習を継続できる

 もちろんJetson TX1はディープラーニングのみに利用できる開発ボードではない。ソフトウェア開発環境としてはCUDA 7.0をサポートし、CUDAで処理できる機械学習ライブラリ「cuDNN」の他、コンピュータビジョン用ライブラリ「VisionWorks」などにも対応する。(cuDNNについてはCaffeやTheanoなど業界標準的な各種フレームワークとの互換性を持つ)。API群としてはOpenGL4.5やOpenGL ES 3.1、Vulkanなどをサポートしており、グラフィックス処理やGPUを用いた計算処理(GPGPU)などにも高いパフォーマンスを発揮する。

Jetson TX1のSDK Jetson TX1のSDK
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