特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

複雑すぎる原価管理、IoTでどうカイゼンするかトヨタ生産方式で考えるIoT活用(4)(2/5 ページ)

» 2016年03月03日 07時00分 公開

原価管理を難しくする2つのトレンドとは?

 さらに製造業(自動車産業)を取り巻く環境は、次のように変化しています。これらもまた原価管理を難しくする要因の1つになっています。

1.国内の少子高齢化による自働化の推進

 生産を行う人手が少なくなっていくことにより、ロボットや搬送作業などの自働化が進んでいます。これに伴い設備投資の割合がどんどん大きくなり、償却期間内での財務諸表上の数字と、「実態のもうけ」の数字が乖離(かいり)する傾向が高くなっていきます。

2.プラットフォーム化による共通部品比率の拡大

 自動車業界ではプラットフォーム化により、同じ部品を多くの車種に広げています。そうなるとレゴブロックの組み合わせのように、共通部品から複数の異なる車種の生産がされることになります。今までは車種ごとにラインを分けるなど、個別に生産をする傾向にありましたが、今後は部品ごとに生産をする流れへと変わっていきます。

 そうなると利益率の高い部品により商品(ここでは車種)の採算が変わってくるため、商品ごと(車種)の原価よりも部品ごとの原価管理の重要性が高くなってきます。

原価管理は難しい?(クリックで拡大)出典:アムイ

なぜ原価管理は“難しい”のか

 そもそも原価管理が難しいと捉えられるのは、なぜでしょうか。以下で具体的に説明していきます。

1.情報収集がネック

 実績の原価を算出するには、現場での生産活動にかかわる情報を収集する必要があります。しかし現場発生時点の情報を、人手を介さずに全て自動で収集することは不可能なため、何かしらの人手を介して行う必要があります。特に必要な情報としては「材料部品の購入情報」「部品、仕掛品、製品の入出庫情報」「生産に要した工数」「設備の稼働情報」「良品・不良品の数」などが挙げられますが、これらの情報をタイムリーに収集することの必要性が現場に理解されず、定着しないことが少なからずあります。

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