統計の食わず嫌いを直そう(その11)、5分で残存バグ数を予測する方法山浦恒央の“くみこみ”な話(83)(4/4 ページ)

» 2016年03月24日 07時00分 公開
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5.終わりに

 ソフトウェア開発で最も面倒な作業がテストです。

 より効果的なテストを実施するために、残存バグ予測式からテスト終了条件が分かると便利です。今回は、回帰分析を用いた残存バグ予測式の導出方法を紹介しました。予測式の作成によって効果的なテスト戦略が期待できます。

 万能に見える回帰分析ですが、あくまで予測です。予測通り進むとは限りません。というより、目安と考えた方が良いでしょう。本例には、以下の問題点があります。

  • コード行数とバグ数に本当に関係性があるか示していない。
  • ソースコード行数以外の項目を考慮していない。
  • データ同士が疑似的に関係しているだけかもしれない(回帰分析の最大の問題点)。
  • 予測式の信頼性がどの程度か示されていない。

 よって、本コラムを出発点として、より高精度な予測式の作成方法を模索してみてください。「統計の食わず嫌いを直そう」の最終回まで読み進めた皆さんに花粉アレルギーはあっても、統計アレルギーはないはずです。本シリーズで取り上げた関連書籍をさらに活用し、工学的なアプローチを試みてください。

【 筆者紹介 】
山浦 恒央(やまうら つねお)

東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)


1977年、日立ソフトウェアエンジニアリングに入社、2006年より、東海大学情報理工学部ソフトウェア開発工学科助教授、2007年より、同大学大学院組込み技術研究科准教授、2016年より非常勤講師。

主な著書・訳書は、「Advances in Computers」 (Academic Press社、共著)、「ピープルウエア 第2版」「ソフトウェアテスト技法」「実践的プログラムテスト入門」「デスマーチ 第2版」「ソフトウエア開発プロフェッショナル」(以上、日経BP社、共訳)、「ソフトウエア開発 55の真実と10のウソ」「初めて学ぶソフトウエアメトリクス」(以上、日経BP社、翻訳)。


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