第52回 DDR4の市場と技術前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/4 ページ)

» 2016年04月14日 00時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]

2.DDR3の延命

 DDR4メモリの立ち上がりが遅くなっている理由の1つとして、DDR3メモリの延命があります。

 DDR4メモリはDDR3メモリに比べ、データ転送速度の高速化、消費電力の低減、メモリ容量の増加を目標として規格の開発が行われました。

 当初、DDR3はデータ転送速度が800〜1600Mbps(クロックは400〜800MHz)で、DDR4はデータ転送速度が1600〜3200Mbps(クロックは800〜1600MHz)の範囲の規格として策定されました。また、消費電力についても、DDR3規格では、電源電圧が1.5V、DDR4規格では1.2Vです。

 しかし、DDR4規格の制定やDDR4メモリの普及が進むより早く、1600Mbpsより高速なデータ転送速度を保つメモリの需要が高まってしまいました。また、複雑なDDR4メモリ規格のI/Fを使わなくても実績のあるDDR3メモリ規格のI/Fでも1600Mbps以上のデータ転送が可能であることが判明しました。このため、DDR3メモリ規格では、新たに1866Mbps(933MHz)と2133Mbps(1066MHz)の転送速度の規格が追加されました。

 DDR3メモリの消費電力低減についても電源電圧を1.5Vから10%低減して、1.35Vにしても動作に支障がないことが分かりました。2010年には電源電圧1.35VのDDR3Lメモリ規格が制定されました(表1)。

表1:DDR3、DDR4の電源電圧と速度

 DDR3でも、さらに1.3Vに低電圧化した新規格の検討も行われています。

 このようにDDR3メモリが当初の1600Mbpsから2133Mbpsに高速化されたため、当面は複雑で高価なDDR4メモリではなく、価格も安定しているDDR3メモリで、より高速なシステムに対応できるようになりました。

 このため、DDR4メモリの立ち上がりが遅くなっているのですが、そろそろ、さらに高速で大容量のメモリの需要が高まってきました。

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