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» 2016年04月18日 10時00分 公開

いまさら聞けない 電装部品入門(24):「ぶつからない」と言い切ったアイサイトが日本の運転支援システムを変えた (2/3)

[山本照久(カーライフプロデューサー),MONOist]

「ぶつからない」を真っ先に明言した富士重工業

富士重工業のアイサイトのWebサイトでも、文末に「?」がつくものの、ぶつからないことを説明している 富士重工業のアイサイトのWebサイトでも、文末に「?」がつくものの、ぶつからないことを説明している (クリックして拡大) 出典:富士重工業

 2010年、富士重工業が「レガシィ」に搭載したアイサイト(Ver.2)の宣伝で、衝突未然防止システムは一気に認知度が上がります。

 富士重工業は「ぶつからないクルマ?」というキャッチフレーズでTVCMを積極的に展開しました。アイドルグループのTOKIOのメンバーがステアリングを握ってアイサイトを体感し、絶叫しながら自動停止するCMを覚えていらっしゃる方も多いと思います。

 完全停止を搭載することが認められるようになったとはいえ、自動ブレーキに関連する規制や衝突時の責任の所在などの懸念事項で消極的だった各自動車メーカーにとって、大変衝撃的なCMだったと記憶しています。

「完全停止できることを大々的にPRしちゃったよ……」

 私もこのせりふを誰かに言った記憶があります。あえて消極的な姿勢を取ってきた、という背景を知らない一般の方々が「スバルはすごい!」と感じ、「他の自動車メーカーはどうした!?」という目で見られてしまう皮肉な状況も一時的にありました。

 アイサイトがすごいのは、今までコストが高く搭載率が著しく低かった衝突被害軽減システムと比較して、圧倒的なコストパフォーマンスを実現したことです。

 これによってスバル車のアイサイト搭載率が飛躍的に向上し、結果的に衝突未然防止システムの効果が市場で認められるようにもなり、世の中を変える大きなきっかけとなったのです。

 アイサイトの普及によって政府を含め、結果的に世の中の“当たり前”が大きく変わったことは社会にとってとても大きな前進だと思います。実際に、運転支援システムの搭載によって事故率が劇的に下がっているという実態もようやく認められることになり、自動車保険の保険料も運転支援システムの有無で変わるようになる見込みです。

 「技術は人のため」といった言葉をどこかで聞いたことがありますが、まさに運転支援システムは人間社会のために大きく役立っている技術だと私は思います。

メーカーごとに異なる呼び方

 “アイサイト=ぶつからないクルマ、もしくは衝突未然防止システム”といったイメージをお持ちの方が多いと思いますが、実はアイサイトというのはスバル車に搭載されている運転支援システムを表した包括的な呼称であり、衝突未然防止システムだけを指した呼称ではありません。

 他社もそれぞれ独自の呼称を付けています。例えばトヨタ自動車は「Toyota Safety Sense」、ホンダは「Honda SENSING」、マツダは「i-ACTIV SENSE」、ダイハツ工業は「スマートアシスト」などがあります。

 これらの呼称に含まれている代表的な機能としては以下のようなものがあります。

  • 衝突未然防止システム(プリクラッシュブレーキ)
  • 追従機能付きクルーズコントロール(車間距離の保持)
  • 誤発進抑制システム
  • 車線維持(レーンキープ)システム
  • 車線逸脱警報
  • オートハイビームシステム
  • 先行車発進お知らせシステム
  • 標識検知システム(制限速度、追い越し禁止、一時停止など)

 これら全ての機能を、全ての自動車メーカーが全車種に搭載している訳ではありません。車両価格やグレードなどによっても異なってきますので、ご購入の際はしっかりと確認した上で商談してください。

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