特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2016年04月20日 12時00分 UPDATE

製造業IoT:人工知能は製造現場でどう役に立つのか (1/4)

人間の知的活動を代替するといわれる人工知能が大きな注目を集めている。ただ、製造現場で「使える」人工知能は、一般的に言われているような大規模演算が必要なものではない。「使える人工知能」に向けていち早く実現へと踏み出しているファナックとPFNの取り組みを紹介する。

[三島一孝,MONOist]

 人工知能の活用には現在大きな注目が集まっている。クイズやチェスや囲碁で人間との勝負で勝利したり、医療機関の病気判別で貢献したりするなど、時に人間の知能を上回る性能を示す人工知能は、製造現場でもさまざまな用途で活用できると期待が集まっている。

 現在、これらの舞台で活躍している高度な人工知能は高い演算能力を必要とし、処理能力やデータの記録容量などを可変できるクラウド環境での活用が前提とされている。一方で製造現場では、通信環境などに制約がある他、リアルタイム性が要求されるような場面も多く、クラウド環境に全データを集約し、その処理の反応を待つような使い方は現実の業務プロセスに合わない。

 IoT(Internet of Things、モノのインターネット)の活用などで現場のデータ取得が容易になる一方でこれらの処理をどこで行うのか」という議論が生まれ、クラウドに送るのではなく現場で処理するという「エッジコンピューティング」という考え方が生まれた。また、クラウドとエッジ(現場)の間でエッジ側にそのままフィードバックするのかクラウド側にあげて処理をするのかを判別する中間層として「フォグコンピューティング」などへの取り組みも進んでいる。

 経営戦略などの支援についてであれば、大規模な人工知能でもよいかもしれないが、製造現場で要求されている人工知能は、こうしたエッジやフォグ環境で使用するということが現実的だといえる。いわゆる“手足につける知能”というものだ。

製造現場で「使える」人工知能

 こうした現実的な取り組みに先じて取り組み、人工知能機能を活用したさまざまな製造工程のアプリケーションを2016年内に商用化しようとしているのが、ファナックとPreferred Networks(以下、PFN)である。

 PFNは、深層学習(ディープラーニング)技術などを開発する人工知能関連ベンチャーで、2015年6月に「機械学習(マシンラーニング)を活用した産業用ロボット技術の高度化」に向けた技術提携でファナックと提携。その後資本業務提携にも拡大し、両者での製造現場の知能化に取り組んでいる。2016年4月18日には、人工知能機能などもアプリケーションとして組み込んだIoTプラットフォーム「FIELD system」を、2社とCisco Systems、Rockwell Automationとともに立ち上げることを発表している※)

※)関連記事:製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へ

 ファナックとPFNでは既に、製造現場で使える人工知能関連技術として、機械学習により産業用ロボットのティーチングを行う技術を開発。2016年内の製品化に向けて開発を進めているところだ。

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