ワークフローはなるべくシンプルに――「設計者のためのPDM」に求めた5つのこと3D設計推進者の眼(9)(2/4 ページ)

» 2016年04月22日 10時00分 公開

事例発表の情報を生かす

 「情報を取りにいく」といえば……、事例発表では、良いことばかり、成功事例ばかりが聞こえてくるものですが、苦労した部分や失敗談こそが大切な情報源となります。そこを見いだす聞く側のスキルも必要です。私も講演の機会を持つことがありますが、この苦労した部分についてお話しさせていただくようにしています。

 質問もするべきです。その場で聞く事も必要ですが、首都圏、大都市で行われる、大きな講演会場では、質問し難い空気が漂っています。しかも、質問する方々はそうそうたる企業の方々ばかり。主催者の方々も考えて欲しいものですが、後からでも講演者を見つけて聞いてみましょう。

 私の場合、質問には、コンプライアンスの問題がない限りは、できるだけ丁寧に回答しようと心掛けています。質問があるというのはうれしいものです。またセミナーの後の懇親会はユーザーが直接的に語り合えるという最高な場ですが、これがないカンファレンスもあるので、そんな場合は残念です。

PDMに何を求めたのか?

 さて立ち上げプロジェクトの話に戻りますが、システム連携については、RFPの中で要求仕様として明確にします。その上でシステムを選定し、発注後には要件定義の作業が始まります。要件定義は実装すべき機能や満たすべき性能などを明確にしていく作業で、カスタマイズの仕様もここで決まっていきます。どんなデータをどう連携するのか、ブレないように注意が必要です。

 当初のシステム選定シーンでの参画メンバーと、発注後のメンバーが異なったとしても、“言っていること”、つまり要求仕様が変わらないように、プロジェクトマネジャーによる管理が必要です。これには正直、苦労が絶えません。

 今まさに、私もPDMの立ち上げを行っている最中です。3D CADの立ち上げ途中なのに、PDMの立ち上げを開始したのです。そう聞いて、「3D CADの立ち上げも完了していないのに無謀だ!」と言う人もいるかもしれません。読者の皆さんはいかがでしょうか?

 そのような状況でPDM構築を始めたのは、以下のことをPDMに求めたからです。

「設計者のためのPDM」に求めたこと

  1. PDMの運用内容は、3D CADデータ管理のみを行う
  2. PDMでの3D CADデータの管理内容(版管理および流用管理ができる。標準部品ライブラリを作ることができる)
  3. PDMの利用者は、メカ設計者のみにする
  4. ワークフロー管理は複雑にしない(一般的な出図作業における承認フローは持たず、自己承認とする。標準部品ライブラリの版管理のみ管理者の承認フローを持つ)
  5. PDM導入立ち上げフェーズでは、生産管理システム連携を行わない

 以降は、上記の項目に沿ってお話していきます。

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