超高精細な金属配線を大面積に印刷できる新技術FAニュース

産業技術総合研究所フレキシブルエレクトロニクス研究センターは、東京大学、山形大学、田中貴金属工業と共同で「スーパーナップ法」を開発した。銀ナノインクを表面コーティングするだけで、微細な金属配線を大面積に印刷することができる。

» 2016年05月11日 07時00分 公開
[MONOist]

 産業技術総合研究所(産総研)は2016年4月20日、産総研フレキシブルエレクトロニクス研究センターと東京大学、山形大学、田中貴金属工業が共同で、「スーパーナップ(SuPR-NaP:表面光反応性ナノメタル印刷)法」を開発したと発表した。紫外光照射でパターニングし、銀ナノ粒子を高濃度に含む銀ナノインクを表面コーティングするだけで、高精細な銀配線パターンを製造できる印刷技術だ。

 プリンテッドエレクトロニクス技術は、印刷技術を用いて各種の電子デバイスを製造する技術として、昨今注目を集めている。中でも、微細な電子回路の構成に欠かせない高精細な金属配線の印刷については、これまでさまざまな技術が開発されてきた。しかし、汚染による繰り返し再現性の乏しさ、金属粒子同士の焼結・融着、高温処理によるプラスチック基板のゆがみ、基材の屈曲による配線の剥がれなどが課題となっていた。

 今回開発した技術は、紫外光の照射によって形成した基材表面上に、銀ナノインク内の銀ナノ粒子を選択的に化学吸着させ、粒子と粒子との自己融着によって低い抵抗の銀配線を形成するものだ。これにより、真空技術を一切使うことなく最小線幅0.8μmの超高精細な金属配線を、大面積基材上に高速で印刷できるようになった。

 田中貴金属は、同技術を用いたフレキシブルなタッチパネルセンサーの製品化を目指しており、2017年1月にサンプル出荷する予定だという。

photo フレキシブル基板
photo スーパーナップ法の模式図。(1)紫外光のマスク露光、(2)反応性表面の潜像形成、(3)銀ナノインクのブレードコーティング、(4)銀配線パターンの形成
photo 印刷した金属配線。左:5μm、3μm、0.8μm線幅の金属配線の光学顕微鏡写真。右:0.8μm線幅の金属配線の電子顕微鏡写真。

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