「整理・整頓」ができている会社は必ずもうかる!実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(11)(1/5 ページ)

革新的な原価低減を推進していくための考え方や手法について解説する連載「磐石モノづくりの革新的原価低減手法」。今回は、“整理・整頓・清掃・清潔・躾”から成る「5S活動」のうち、最も重要な「整理・整頓」の意味についてじっくりと解説します。

» 2016年05月17日 11時00分 公開
原価低減

 先輩から教えられた幾つかの仕事のコツの中に、『「整理・整頓」ができている会社はもうかる』という話がありました。それはおおむね次のようなことでした。



 ……全員で努力しなければならないことの第1は、工場の「整理、整頓」である。例えば、作業台や材料棚の整頓が行き届いていないとか、汚れていたりホコリが堆積していたりしてはいけない。作業台の上、材料棚の中やその周辺をキチンと「整理・整頓」して、必要な部品や工具がすぐに分かるように工夫して置く。つまり、どの品物や工具がどこに何個あるかがひと目で分かるようにして置く。作業台の上に、部品や工具を順序よく並べて置くことでムダな動作を省略して、利益につながらない手間を掛けないようにすることで、初めて「仕事が楽に速くできる」ようになる。そして、「整理・整頓」が徹底されていると製品の出来栄えを容易に判断することができる。こういう職場が「良い物を安く速く造る」ことができる。

 また、汚い職場からは決して良い製品は生まれてこない。汚い職場はホコリや切り粉があらゆる製品や工具に付着していることが容易に想定できる。作業台や部品棚、機械設備を清潔にし、部品や工具の「整理・整頓」をよくすることは、手間が増えてしまうと考えてしまうものであるが、決してそうではない。手間を増やさないだけではなく、逆にムダを省く根本である。このことが徹底して実行できなければ良い職場、ひいては発展する会社にはなり得ない。

 発展を続けている会社はどこも良く「整理・整頓」されている。不潔で、散らかっている工場に利益が上がっているところはない。発展を続ける会社を望むならば、この「整理・整頓」がその土台となる。その土台の優劣によって、これからの伸び代が違ってくる……



 以上がその内容ですが、本当に、的を射た数十年前の先輩の教えです。「整理・整頓」は手段で、目的は「もうけを増やす」ということを一言で解きほぐしてくれる貴重な教えではないでしょうか。

 また、生産管理の面においても「整理・整頓」は役立ちます。生産管理は、狭義には“品質管理(Q;Quality)”“原価管理(C;Cost)”“工程管理(D;Delivery)”をいいますが、その諸管理の基礎となる「5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾または習慣)」に加えて、「標準化」「チームワークの強化」「士気高揚」を確立し、向上を図って強固な管理の基礎作りをすることで、より揺るぎないものにしていくことができるのです。



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