シェフラーの“すり合わせ”が前進、成果は日産向けの電動可変バルブタイミングにシェフラージャパン 代表 四元伸三氏 インタビュー(2/3 ページ)

» 2016年06月10日 10時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

競合よりも小型化できた理由とは

シェフラージャパンの栗城剛氏 シェフラージャパンの栗城剛氏

 ウェーブジェネレーターの構成自体はシンプルで、ロボットや精密機械に使われてきた機構だが、精密加工が必要な部品で構成されており自動車向けのような大量生産には不向きとされてきた。

 「高精度な寸法が求められる機構を量産性の高いプレス加工で生産することができたので、製品化にめどがついた。プレス加工で対応できるかどうかというところで開発期間を要した」(栗城氏)。また、ウェーブジェネレーターはモジュールとして生産するので量産効果が見込まれるという。

 同展示会で発表した電動可変バルブタイミング機構は、既にシェフラージャパン社内で量産を始めているという。日産自動車から搭載車種が登場するのも間もなくだ。

 油圧制御タイプと比較するとコストは高くなるが、「小型軽量化や電動化によるメリット、2〜3%ではあるが燃費の改善を考えると決して割高ではない。搭載拡大によって現状よりもコストは下げられる」(栗城氏)。

すり合わせを重視して、仕事のやり方を見直した

 電動可変バルブタイミング機構はエンジンの制御に直結するため、制御のバロメーターの調整や適合などを含めて日産自動車と共同開発した。「部品を納入して評価してもらうのではなく、すり合わせの開発だ」(シェフラージャパン 代表取締役の四元伸三氏)。

 シェフラージャパンから日産自動車へ、日産自動車からドイツ本国のシェフラーへとエンジニアの行き来も頻繁だったという。四元氏は「会社の垣根を超えた一体のチームで開発し、生産準備まで日産自動車に協力してもらった。“すり合わせ”の大切さを再認識して取り組んだ。立ち上がりまでスムーズに進めることができ、すり合わせの面では成長できたと感じている」と語った。

 シェフラージャパンが仕事のやり方を見直すきっかけになったのは、シェフラーがホンダのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」向けに納入した7速DCTだ。制御プログラムが原因で1速のギアがかみ合いにくくなる不具合が発生し、ホンダはリコール対応に追われた。

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