「EMIEW3」に見えた、ヒトとロボットの共生(4/4 ページ)

» 2016年07月20日 07時00分 公開
[大内孝子MONOist]
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EMIEW3が狙う「役立つロボット」

 自律移動するロボット、クラウドベースで学習していくロボットとしては、Pepperなどが競合視される。また、据え置き型のコミュニケーションロボットも多種多様な製品がある。いま日立がEMIEW3をこの市場に投入する狙いには何があるのだろうか。

 市場が明確化されていないので難しいところはあると前置きしながら、同社では「ビジネスに役立つものを提供したい」のだという。

 「“共生“という言葉が使われますが、EMIEWは自発的にコミュニケーションを取れます。自分で動きまわって、自発的にインタラクションを仕掛けることができます。人は人で得意なことをする、ロボットはロボットで得意なことをする、それを共生だと私たちは考えています」

photo 「共生」を掲げる日立製作所の「Robotics Co-creation Romm」。右のロボットはEMIEW3の先代にあたる「EMIEW2」

 コミュニケーション特化型というと、どうしても領域が狭くなる。また、人とは分離した領域で動作する作業ロボットとは異なるというところで、コミュニケーションだけではなく移動もできるということが、EMIEWの特性として最大のポイントになっている。

 EMIEWシリーズの進化・発展に際しては日立グループとしてさまざまな要素技術を持っているからこそ、この段階まできたというのはあるが、今後、自社以外のいろいろなサービスを活用する、連携することも視野に入れているという。前述のように、ロボットIT基盤ではさまざまな要素技術を統合して活用することができる。日立が自社で開発してきた技術だけに限らず、他社のクラウドサービスが提供する音声認識、画像処理サービスと組み合わせることも可能な構成なのだ。

 「私たちとしては、つないで付加価値を増やしていくということは可能な構成だと思っています。提供される側のお客様の都合にもよりますが、成り立てば、いろいろなモデルが可能だと思います」

 実際の運用体制は、スタート時は研究者が監視するという形だ。ここでまず、現場での課題をきちんと認識して対処していくことが実証実験の目標となる。その中でどういったところをサービスとして提供できるか、分解して整理するというのが最初のフェーズだ。データを取るという次のフェーズになれば、ある程度現場に任せるということも可能になるが、そのフェーズにいくまでに安定性を高めておかなければならない。

 事業化としては2018年のサービスインを目指しており、現在、実証実験について、具体的に幾つかのクライアント、開発パートナーと検討を進めている段階だ。

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