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» 2016年08月22日 10時00分 UPDATE

いまさら聞けないクルマのあの話(1):JC08モード燃費ってどうやって測定するの? カタログ値と実燃費が違う理由は (1/4)

聞いたことはあるけれど、正確に知っているかといわれると自信がない……。クルマに関する“いまさら聞けないあの話”を解説していきます。第1回は、三菱自動車が発端となって世間を騒がせたのが記憶に新しい「燃費の話」です。

[山本照久(カーライフプロデューサー),MONOist]

 非常に多くの方が自動車を購入する際に参考にする「カタログ燃費」。言葉としては知っているけれど、十分に理解していない方がとても多いように感じます。

 今までも散々さまざまなメディアで取り上げられているネタですので、あらためて私がお話ししなくても必要十分なのではないかとも思いますが、まだまだ正しい認識をされていない方が多数いらっしゃいますので、他とは少し違った視点も含めながら解説してみたいと思います。

カタログ燃費は何のためにあるのか

トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」の前モデルのカタログ燃費。10・15モードからJC08モードへの移行期間には2つのカタログ燃費が併記されていた トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」の前モデルのカタログ燃費。10・15モードからJC08モードへの移行期間には2つのカタログ燃費が併記されていた (クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 2011年4月以降に新規型式を取得する車両(新型車)に対し、JC08モードという測定方法で算出された燃費値をカタログなどで公表することが義務付けられました。

 それまでは10・15モードという測定方法で公表されていましたが、あまりにも実燃費との乖離が大きすぎるという市場の声を踏まえ、少しでも実燃費に近づけるためにJC08モードという測定方法が採用されました。

 正直に申し上げますと、カタログ燃費というのは、あるモデルと他のモデルについて全く同じ条件で走行した結果を比較することを目的としていますので、実燃費との乖離が大きい10・15モード燃費でも何の問題もありません。

 少しでも実燃費に近い方が、車両を購入した場合にかかる経費の計算で参考になりますが、使用環境や頻度、運転方法などは人によって大きく異なりますので、実際に本人が長時間運転してみないと誰にも分からないというのが現実です。

燃費に影響を与える環境要因はたくさんある

 そして意外と知られていないのが、第三者が介入できない自然環境が燃費に与える影響です。先述したように、性能を比較するには絶対的な平等性が求められますので、自然現象も含めて燃費に影響する要因を全て排除した上で測定した結果を使用する必要があります。

 考えると無限大ではございますが、燃費に影響する代表的な要因を挙げてみましょう。

 1つ目は「気温と湿度」です。気温によって空気の密度が異なることは周知の事実だと思いますが、湿度も同様です。なお、ここでの空気の密度=酸素の含有率と考えてください。ピストン一往復で同じ容積の空気を取り入れ、燃料を混合させて燃焼を行なうガソリンエンジンにとって、酸素の含有率は絶大な影響を受けます。

 2つ目は「路面温度」です。路面温度によってタイヤの転がり係数(摩擦抵抗)が大きく変化します。

 3つ目は「風」ですね。これは誰もがイメージしやすいと思いますが、向かい風の中で前進する場合と追い風で前進する場合とを比較すると、追い風の場合が圧倒的に有利なのは言うまでもありません。

 4つ目は「道路状況」です。登り坂なのか下り坂なのかはもちろん、信号待ちが発生しても影響します。言うまでもなく、渋滞があると進んでもいないのに燃料だけ消費するという最悪の状態になります。

 5つ目は「電気負荷」です。発電機を備えた自動車で使用される電力は、全て元をたどれば燃料を消費して作りだされています。エアコンはもちろん、オーディオ、灯火類、最近ではパワーステアリングも大きな電力消費要因。

 他にもエンジンの水温や乗員数などがありますが、全ての要因を含めて走行した最終結果が燃費という値で出てきますので、非常に奥が深い世界なのです。

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