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» 2016年08月31日 10時00分 UPDATE

オンリーワン技術×MONOist転職(3):地震大国の地盤調査技術は、宇宙をも目指す――日東精工 (1/3)

日本の“オンリーワンなモノづくり技術”にフォーカスしていく連載の第3回。今回は、ねじや自動組立機、計測・検査装置を展開する日東精工の地盤調査機を紹介する。

[杉本恭子,MONOist]

 日東精工は1938年創立。1985年に東証一部に上場し、海外に17拠点を展開しながらも、京都から北西に車で約1時間、日本海まで30分ほどの創業の地、京都府綾部市に本社を置く。現在、工業用ファスナー(ねじ製品)、自動組立機、計測・検査装置の3事業を展開しているが、その歴史は精密流量計や光学機器の製造販売からスタートしている。

photo 日東精工(京都府綾部市)
photophotophoto 日東精工の主力3事業製品。左から工業用ファスナー(ねじ製品)、自動組立機、計測・検査装置

 そんな同社がシェア80%以上を誇るオンリーワンは、創業以来の計測・検査の系譜を受け継ぎ、地震大国日本に欠かせない地盤調査機「ジオカルテ」だ。

地盤調査の自動化で、精度Up、コストDown

 日東精工は、「ねじからねじ締め機、計測・検査装置まで」を一貫して提供する世界でもまれな企業。故に、最適な締結環境を提供できることが強みである。売り上げの約6割を占めるねじは、ほとんどがオーダーメイドで、約7万種類、年間総生産量約260億本という世界トップクラスの生産量。特徴的なのは、最小0.6mm(軸の直径)という精密ねじ、極小ねじで、シャープペンシルの芯をイメージすると分かると思うが、砂粒のようなサイズだ。

photo 同社の極小ねじとねじ製造を開始した昭和31年の1円玉

 地盤調査機「ジオカルテ」は、計測・検査装置事業に属する。地盤調査機とは、地盤の強さを調べる機械で、その結果に応じて杭を打ったり、地盤を改良したりする。地盤調査というとボーリングを思い浮かべるかもしれないが、あれは大規模建築や高層ビルなどに使われる方法で、非常に大がかりでスペースもコストも必要。それに対して「ジオカルテ」が採用しているのは、「スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)」で、日本では1976年にJIS規格となった。2000年ごろから急速に広がり、現在、戸建住宅や2〜3階建ての低層建築では、ほとんどがこの方法で調査されている。

photo 地盤調査機「ジオカルテ」(写真は最新機種のジオカルテIII)

 SWS試験は、先端がやじり形状(スクリューポイント)の鉄の棒を用い、最大100kgの錘(おもり)を乗せたり、180度ずつ回転させたりしながら、地面に貫入させることで強度を調査する。従来、錘の上げ下ろしやロッドの回転は人手で行われていたが、一般に深さ10m、あるいはスクリューポイントが貫入できない地盤に突き当たるまで、25cm単位で調査しなければならない。時間がかかり肉体的にも負担になるうえ、作業者によるばらつきも指摘されていた。

photo 日東精工 制御システム事業部 販売部 部長の片山博明氏

 「ジオカルテ」はこの調査を初めて自動化したもので、阪神淡路大震災の翌年、1996年4月に第1号機の販売を開始した。シェア80%の理由について、制御システム事業部 販売部 部長の片山博明氏は「荷重の制御が細かく、正確に、瞬間的にできて、使い勝手に優れ、コンパクトに設計されていることなどで評価いただいている」という。同社が計測や締結、自動組立機で培った技術が集結されているジオカルテは、調査時間を短縮し、地盤調査のコストも低減。SWS試験普及の影の立役者となった。

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