VR/ARが描くモノづくりのミライ 特集

「Design」「Make」「Use」が融合する時代、設計者の役割も変わる?Autodesk University Japan 2016(1/3 ページ)

「Autodesk University Japan 2016」の基調講演に、オートデスク米国本社のスティーブ・ブラム氏が登壇。これまで異なるものとして別々に管理されていた「Design」「Make」「Use」という3つのプロセスが融合しつつあり、その代表的な事例の数々を紹介した。

» 2016年09月14日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
オートデスクのスティーブ・ブラム氏 オートデスクのスティーブ・ブラム氏

 オートデスクは2016年9月8日、最新ソリューションやユーザー事例などを紹介するセミナーイベント「Autodesk University Japan 2016」を東京都内で開催した。基調講演には、米国本社でワールドワイド・セールス・サービス担当上級副社長を務めるスティーブ・ブラム氏が登壇。同社のコーポレートスローガンにもなっている「The Future of Making Things ―創造の未来」をテーマに、建築や製造業、エンターテインメントといった各分野における同社の採用事例を紹介した。

 ブラム氏が最初に紹介したのは、米国のConXTechという建築会社だ。ConXTechは、ビル建築に必要な梁や柱をオフサイトであらかじめ組み上げておくことで、従来よりも建築にかかる時間を30%短縮できる技術を特徴としている。いわゆるモジュール化の技法を、建築分野に適用した格好だ。

ConXTechの技術を用いたビル建築の様子建築したビルの最終的な完成形 ConXTechの技術を用いたビル建築の様子(左)と建築したビルの最終的な完成形(右)。ビルの骨組みは、8人の作業員で7時間で組み上がったという(クリックで拡大) 出典:オートデスク

 ブラム氏は、「創造のための『Design』『Make』『Use』という3つのプロセスは異なるものとして別々に管理されていた。しかし今やこれらは、クラウド、ソーシャル、モバイルによって融合しつつある」と語る。ConXTechの事例は、DesignとMakeの融合によって新たな価値が生まれていることを示している。

 エンターテインメント分野では、Sensible Objectというベンチャー企業が、ハードウェアと融合したゲームの開発を短期間で成し遂げた事例を紹介した。動物などをかたどったピースを崩れないように積み上げて行く「Beasts of Balance」というゲームで、たくさん積み上げるほどに、連携するタブレット端末のアプリ内に動物が現れたり進化したりするという内容だ。開発では、3Dグラフィックスソフト「3d studio」でデザインを行い、そこから3D CADである「Fusion 360」に移行して、実際のピースのプロトタイピングを行ったという。2016年2月にKickstarterでクラウドファンディングを開始しており、2016年末に商品化される予定だ。

Sensible Objectが開発した「Beasts of Balance」 Sensible Objectが開発した「Beasts of Balance」(クリックで拡大) 出典:オートデスク
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