日立の人工知能技術「H」が“汎用AI”だからできること人工知能ニュース

日立製作所は、ユーザーイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」において、同社の人工知能(AI)技術「Hitachi AI Technology/H(以下、H)」を紹介するデモ展示を行った。

» 2016年10月28日 15時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 日立製作所は、ユーザーイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」(2016年10月27〜28日、東京国際フォーラム)において、同社の人工知能(AI)技術「Hitachi AI Technology/H(以下、H)」を紹介するデモンストレーション展示を行った。同イベントの受付などを行うエントランススペースで実施しており、イベント登録などを行わなくてもデモを見ることができる。

「Hitachi AI Technology/H」のデモ展示 「Hitachi AI Technology/H」のデモ展示(クリックで拡大)

 デモではまず、Hが汎用AIであることをアピール。目的を設定すれば、さまざまなデータの中から、その目的に最も関連性が高いデータを選び出すというHの機能を紹介しつつ、多様な分野に展開できる事例を示していく構成となっている。

 事例は4つある。1つ目は「レゴマインドストーム」で試作した鉄棒ロボットに対して、鉄棒動作の「振り幅を最大化する」という目的を設定した場合だ。このロボットは、鉄棒の振り子運動をしようと最初は足の部分をやみくもに動かすものの、徐々にコツをつかみ始め、最終的にはより大きい振り幅で運動ができるようになる。

鉄棒ロボットが足の部分をやみくもに動かす徐々にコツをつかむ振り幅を最大化 鉄棒ロボットが「H」によって「振り幅を最大化する」という目的を達成するプロセス(クリックで拡大)

 なお、同じレゴマインドストームを使って製作したブランコロボットにより、鉄棒ロボットと同じく振り幅を最大化するという目的を設定した場合の比較デモを展示ホール内で見ることができる。鉄棒とブランコでは、設定された目的は同じではあるものの、関連するデータや目的を達成するのに重要なパラメータは異なる。しかし、Hは汎用AIなので、同様のプロセスを経て振り幅を最大化することが可能だ。

ブランコロボットが足の部分をやみくもに動かす徐々にコツをつかむ振り幅を最大化 ブランコロボットも「H」で「振り幅を最大化する」という目的を達成。汎用AIであるHだから可能だという(クリックで拡大)

 デモ展示の2つ目の事例はコールセンターだ。「営業効率を上げる」という目的に対して、Hが導き出した解答は「休憩時間にみんなでもっとおしゃべりすること」で、それを実践した結果受注率が27%向上したという。3つ目の、物流における「作業効率の向上」を目的とした場合、Hが導き出した通りに集品を行うと作業効率が10%向上した。そして4つ目の鉄道で「電力効率の向上」を目的に設定すると、Hが考えた運転パターンにより、年間で電力効率が14%向上したという結果が得られた。これらを目的に合わせてカスタマイズせずに実現しているのがHの汎用AIたるゆえんだ。

コールセンターの事例物流の事例鉄道の事例 コールセンターの事例(左)、物流の事例(中央)、鉄道の事例(右)のイメージ展示(クリックで拡大)

 Hの特徴は、あくまで、与えた目的に対して関係性の深いデータを見つけ出すところにある。その関係性の深いデータを使って、さらに物事をより良くするのは人間の役割だ。「人と協調して人を超える」(同社の説明員)のが、Hの役割なのである。

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