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» 2016年11月02日 10時00分 UPDATE

Autodesk Vaultで設計改善:検索が決める設計の効率化、過去の資産が負債になっていないか

設計効率を高め、品質を維持するにはどうすればよいか。新規設計の比率を下げ、過去の設計資産を流用することだ。だが、過去の資産が十分活用できていない。目的の設計ファイルをうまく見つけることができない。このような問題を解決する手段が、製品情報管理(PDM)システムだ。PDMの魅力を引き出すためには、導入にあたって何に注意しなければならないのだろうか。

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流用設計を助ける「PDM」

 設計業務の効率を高めようとするなら、流用設計が欠かせない。全ての部分を新規に設計するのではなく、過去に手掛けた設計の一部を流用する。流用できそうな過去の設計データがすぐに見つかれば、設計に必要な時間が少なくてすむ。

 多くの設計現場ではWindowsファイル管理の仕組みを利用している。年度や案件ごとにフォルダを分け、バージョンなどの情報をCADファイル名に含めるといった工夫を重ねながら、さまざまな設計データを蓄積・共有している。

 しかし、このようなファイル管理のやり方には限界がある。フォルダ名やファイル名という限られた切り口で情報を整理しているからだ。実際にデータを探し出そうとすると、各設計者の記憶を頼ることになりがちだ。

 ある案件について、最初から最後まで同一の設計者が担当する場合や、設計部署の規模が小さい場合は検索しやすい。だが、そうでない場合は流用可能なデータが存在していたとしても、見つけ出すことは困難だ。「検索するよりも、新たに設計した方がよいという判断になってしまいます。これでは設計の効率化は進みません」(SCSKの長谷川光弘氏、図1)。

図1 SCSKの長谷川光弘氏(左)と今出俊和氏 両氏ともプラットフォームソリューション事業部門製造エンジニアリング事業本部デザインソリューション部第一課でシニアエンジニアを務める

 データ流用による設計の効率化を進めるには、「必要な情報を必要な時に必要な形で取り出せる仕組み」が必要だ。

 こうした目的のために導入が進んでいるのが、製品情報管理(PDM)システム。Autodesk製品のユーザーであれば、同じメーカーのPDM製品「Autodesk Vault」シリーズ(以下Vault)が最適だ。

 SCSKはVaultに関する支援サービスをさまざまな業界の顧客に向けて提供している。SCSKの考えるVault導入のメリットは大きく3つ。検索、ステータス管理、版管理だ。いずれも幅広いユーザーに役立つ。

最大のメリットは「検索」

 「Vaultを導入した顧客の反応のうち、『検索がしやすくなった』という声が最も大きいですね。Vaultでは、Windowsの検索機能を利用するよりも、はるかに高速に検索結果を得られます」(SCSKの今出俊和氏)。

 検索しやすくなった=処理時間が短い、だけではない。それ以外の面の方が大きいのだという。「案件名や年度、設計者など、限られた要素に基づく検索であれば、こうした情報をファイル名に含めておき、管理することもできます。しかし、設計者が検索に使いたい『検索キー』はこれだけではありません。例えば材料やコスト、製品分類、納品先、サイズなどの情報を全てファイル名に含めて管理しようとしても難しいでしょう。Vaultであれば、このようなさまざまな情報を無理なく検索できるような環境を構築できます(図2)」(長谷川氏)。

図2 さまざまな検索条件を駆使して必要なCADデータを探し出す

「ステータス管理」は設計者にも役立つ

 ステータス管理は、CADファイルがどのような状態にあるのかを管理する仕組み(図3)。Vaultのステータス管理では、作業中やレビュー中、最終承認待ち、出図済みなど、設計データが置かれている状態を記録する。同時にステータスに応じて自動的にアクセス権を制御できる。顧客の業務内容に合わせて自由にステータスを設定可能だ。

 ステータス管理の仕組みは管理者だけでなく、設計者にも役立つ。「データがどのような状況にあるかが可視化されることにより、流用してはならないデータが紛れこむことを防止できます。各ステータスに付与されたアクセス権によって、修正してはならないデータを誤って変更してしまうミスもなくなります」(今出氏)。

図3 ステータス管理の流れ 設計データのライフサイクルを把握できる

「版管理」を使って的確な設計データを手に入れる

 Vaultには自動でバージョンを蓄積する仕組みがある。ファイルを編集して再登録するごとに自動で過去のバージョンを保存していく。

 このようにして蓄積された複数のファイルバージョンを、「製造部門へ提出」「検図・承認処理を通過」などの特別なイベントにひもづけて区切り、「版」として管理するのがVaultのリビジョン管理(版管理)機能(図4)。

 この機能のメリットは、フォルダ名・ファイル名ベースの版管理と比較すると分かりやすい。「フォルダ名・ファイル名ベースの管理では、ファイル名の末尾に文字を付けたり、フォルダを分けることで版を管理することが一般的です。この方法では名前や内容がよく似たファイルが大量に生まれます。本当に必要なデータがどれなのかが判断しづらくなるのです」(今出氏)。

 Vaultのリビジョン管理を使用すると、類似ファイルが大量に作成されることはない。「製造へリリース」「設計変更」など、任意の業務イベント(ステータス変更)のタイミングで、ファイル名を変更することなく新しい「版」の情報を付与できるからだ。

 さらに参照関係を持つファイルの場合は、ある「版」の親がどの「版」の子によって構成されていたか、という情報も記録されるため、「版」ごとの正確なデータ構成を容易に把握できる。その「版」のデータセット一式を手に入れることもできる。

図4 バージョンと版(リビジョン)の関係

立ち上げ支援でVaultがより使いやすく

 Vaultは「Basic」「Workgroup」「Professional」という3つのエディションに分かれている。Vault導入に当たってはデータ管理に対する要件を確認するだけでなく、最適なエディションを検討する必要もある(図5)。

図5 Vaultが備える主な機能 リビジョン管理やセキュリティ管理を重視するならWorkgroupエディション以降が適する

 「企業ごとにデータをどのように管理したいかというニーズや、どのように管理すべきかという最適解は異なります。そこでヒアリングを通じて、設計者から設計業務の実情についての情報を引き出します。さらに過去のデータが現在の設計作業のために『使えるのか使えないのか』を設計者がどのように判断しているのか、といった情報に基づいてVaultの環境を構築していきます」(今出氏)。

 SCSKが提供している3つの支援サービス「Vault立ち上げ支援」「3次元設計立ち上げ支援」「Vaultバージョンアップ支援」、それぞれの事例を紹介しよう(図6)。

図6 SCSKが提供するVault支援サービス

基幹システムとの連携を含むVault立ち上げ支援

 総合電機メーカーA社(設計者:250人、利用者:500人)にVault Workgroupを導入した事例では、既存のCADをAutodesk AutoCADに置き換えると同時に、既存の基幹システムとの連携動作を求められたという。これを実現するには、Vaultそのものに関する技術だけでなく、システム開発の技術も必要だ。

 「当社のVault担当チームは2D/3D CADと同時にシステム開発をも担当しています。設計者の要望を引き出す際にはCADのスペシャリストとしての経験が役立ちます。同時にシステム開発のノウハウに基づき、基幹システムとの連携に必要となるVaultの内部仕様やAPI関連の情報を、過不足なく提供することができました」(今出氏)。

 設計ファイルの移行数は70万件にも及んだものの、検索に必要な属性情報の登録も含めて、約2カ月でVaultに移行・統合できたという。

データ管理まで含めた3次元設計立ち上げ支援

 3次元設計にはPDMが必須という意見がある。どのような意味だろうか。

 「多くの3D CADでは、個々の部品モデル(パーツ)や製品全体のモデル(アセンブリ)、それらの2D図面などのファイルが相互に連携するというデータ構造を採用しています。従来のWindowsベースのファイル管理では、3D CADのファイル同士の参照関係を認識することも制御することもできません。ファイルの名前を変更したり、移動したりするとファイル間の参照情報が簡単に失われてしまいます。ここでVaultを使用すれば、特に意識せずとも対応する3D CADファイルの参照関係を自動認識し、ファイル名変更やコピーの際にVaultが参照情報を調整してくれるのです」(今出氏)。

 2D CADと同じような考え方で、3D CADに移行しようとするとデータの参照関係が手に負えなくなる。同社の「3次元設計立ち上げ支援」にVaultが含まれている理由だ。3Dの設計データはVaultを使用することで、使い勝手が劇的に向上する(図7)。

図7 参照関係の制御を含んだ流用が可能

 生産用機械メーカーB社(設計者:約20人)は、社内上層部の意向に基づき、2D CADから3D CADへの移行を進めようとしていた。Windowsのフォルダベースではないデータ管理が必要だという理解もあって、SCSKの支援サービスを受けたのだという。

 「多くの企業では『3D CADを導入する=操作方法を覚える』ことだと理解していますが、実は操作方法を覚えるというのはスタート地点にすぎないのです」(今出氏)。

 「自社の設計業務をどのように3D CADのシステムに落とし込んで行くべきなのかを検討せず導入しただけでは、使われなくなってしまいます」(長谷川氏)。

 B社は3次元CADとして「Autodesk Inventor」を導入し、Vaultと組み合わせた利用方法を考えていた。「ヒアリングを通じてB社にとって最適な3次元設計手法の構築を行いつつ、同時にデータ管理のための要件を抽出し、それに基づいてB社専用のVault Workgroup環境を構築しました」(長谷川氏)。

 立ち上げ支援の結果、B社では3D CADを使用した設計が定着し、データの流用率が高まった。さらに、Vaultのステータス管理の活用により、管理者が設計情報を把握しやすくなったという。

バージョンアップ支援はなぜ必要

 SCSKが提供する3番目の支援サービスは「Vaultバージョンアップ支援」だ。

 このサービスがなぜ必要なのかについては、重電・産業用電気機器メーカーであるC社(設計者:50人、利用者:140人)の事例が参考になる。

 C社は、Vault Professionalの先行製品からユーザーだったものの、バージョンアップの度にさまざまな問題が発生し、苦労していた。

 Vault Professionalには設計データからBOM(部品表)情報を作成・更新する機能がある。ところが、バージョンアップによって、このBOM情報が破損することが分かった。BOM情報だけで数万件、製品情報にすると7〜8万件もあり、手動で修正することは困難な状態だった。

 「当社で検証を重ねて不具合の再現情報を確定、メーカーにレポートとして提出し、修正パッチを作ってもらうことができました」(今出氏)。

 だが問題は解決しなかった。修正パッチの適用によっても完全には問題が解消されないケースが見つかったからだ。「修正パッチがリリースされたことで、メーカー側ではいったん不具合対応をクローズしてしまいました。そこで修正パッチによる問題を数字に基づいた再現情報として当社が検証し、加えて問題修正のためのサンプルプログラムを作成するなどの働きかけを続けた結果、メーカーから再度修正パッチが提供され、不具合が解消しました。無事バージョンアップを行うことができたのです」(今出氏、図8)。

 SCSKは単なる窓口ではなく、開発力を生かした対応ができたことになる。

図8 Vaultバージョンアップ支援サービスの内容

設計業務の改善に役立つVaultを導入する

 設計業務を改善するには、新たに設計しなければならない部分に注力し、その他の部分は蓄積した設計データから検索して流用する。そうすることで設計期間を短くでき、品質も向上する。

 2D CADはもちろん3D CADで過去のデータ資産を有効利用しようとするなら、VaultのようなPDMが欠かせない。

 ユーザーにとって本当の意味で有益なPDM環境の構築には、自社の業務フローをデータ管理システムの枠組みの中に落とし込むためのノウハウや、PDM・CADに関する知識・経験が必要となってくる。支援サービスを活用すればこれらの要素を補うことができ、結果的により短時間・低コストで自社のPDMシステムを構築することが可能となる。

 これがVault関連の支援サービスを受けるメリットだ。

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提供:SCSK株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2016年12月1日

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