Webから届ける、3Dプリンタと技術の匠が織り成す高品質な試作品アークのモノづくり技術

1948年創業以来、60年以上にわたり大手企業の試作を請け負い続けてきた、試作のリーディングカンパニー・アークのノウハウが、今、オンラインサービスを経由して誰もが利用できる。同社では3Dプリンティングの技術に、生産技術者の手作業を交えることで、多様化した顧客ニーズに応える。今回はその技術の一部と、その裏に秘められた仕事への思いなどを紹介する。

» 2016年11月07日 10時00分 公開
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 今日の設計現場では3Dプリンタを使った試作がすっかり身近になってきた。わざわざ外注しなくても、その場で試作品を作って形状が確認可能だ。また、アンダーカットを気にせずに自由自在な形状が作れることなど、設計現場における3Dプリンタ活用の利点は多数ある。

 ただし、3Dプリンタによる造形は決して万能とはいえない。形状の精密さは切削加工や射出成型品にはどうしても劣り、積層して形状を作りあげるが故に面にギザギザや段差ができてしまう。その上、製作可能な大きさも、使用できる材料も限定される。設計現場では、そんな3Dプリンタの特性を踏まえた範囲での活用にとどまる。

 オフィスに備える3Dプリンタでの試作では限界と感じた場合、力になってくれるのが試作工場である。ただしその際には、備える設備や得意な加工法をよく調べた上で工場を選定する必要がある。

デジタルに匠の技術を加えることによる付加価値を

製造業の幅広い分野で部品試作に携わってきたアーク 富士吉田工場(山梨県富士吉田市)には、従来の切削加工や真空注型の設備と併せ、光造形(SLA)および粉末焼結積層造形(SLS)の2手法の3Dプリンタを備える。最近、多様化してきた顧客の試作ニーズに細やかに対応するためということだ。

アーク 富士吉田工場 工場長 羽田昇氏

 試作加工一筋60年の同社では、3Dプリンタも「加工の匠」ならではの高度な使いこなしをしている。同工場にいる匠たちによるひと手間で、3Dプリンタの限界を1つ1つ丁寧に乗り越えながら、顧客の要望に細やかに応える。アーク 富士吉田工場の羽田昇工場長の「品質はどこにも負けません」という言葉からも、日々の作業にプライドを持って臨んでいる様子がうかがえる。

 匠による丁寧な仕事だからといって、無駄な時間はかけない。また品質が高いからといって、価格がどんと跳ね上がるわけではない。顧客の要求に応じた、絶妙なQCDバランスを考慮して、試作品を作り上げていく。

3Dプリントした造形物にマスキングして塗装したサンプル

造形物を美しく磨き上げる――研磨と接着の技術

 ざらつきがちな3Dプリンティングの造形物の表面はサンドペーパーややすりを使った手磨きで丹念に磨く。例えば透過色の材料を用いて光造形した物に、研磨を加え、さらにクリア塗装で仕上げると、写真のように美しい試作品が出来上がる。

光造形の後に磨き上げ、クリア塗装で仕上げた基板カバーとレンズ

 そのままの形状では研磨が難しい場合、あるいは磨ききれない場合は、あらかじめ分割して造形した上で、それぞれを研磨し、接着を施す場合もある。その場合、気になるのがつなぎ目だが、極力目立たなくすることも可能だ。透過色の造形物の接着においては、気泡が混入しないよう細心の注意を払う。

半球を接着して製作したアクリル玉

 「今は、とてもよい接着剤が出ていますからね……」と羽田工場長は謙遜するが、そこはやはり、匠の技術があってこそ。同じ接着剤を入手すれば、誰でもそのような仕上がりにできるわけではない。

 この仕上がりを見れば、「結構、多くの時間をかけているのだろう」と思うだろうが、実は時間をたくさんかけて研磨すれば美しくなるわけではないということだ。同社では「いかに短時間で、効率よく研磨するか」を常に心掛けている。

大きな部品もお任せ

 3Dプリンタで造形できるサイズには限界がある。特に、オフィスに設置できるようなデスクトップ型3Dプリンタの造形サイズはそれなりに小さめである。大きな部品の試作には向かない。

 3Dプリンタの造形サイズよりも大きな部品を試作したい場合、分割して接着して製作する方法がある。アークでは強度と寸法精度を損なわないように分割方法を慎重に検討する。かつ材料がなるべく無駄にならないよう、複数の造形データの配置をうまくやりくりしていく。もちろん、顧客の目的、つまりどこまで強度や外観を求めるかによって、そのやり方も変わってくる。「造形時の熱の影響の他、機械のコンディションも仕上がりに左右してきます」と羽田氏が言うように、その作業においては気を遣うべきさまざまな要因が絡む。

 納品時にも部品を丁寧に寸法検査し、高品質な試作品を届けている。「造形する時点で、検査治具まで設計して作っています」(羽田氏)。

誰でもオンラインで即アクセス可能できる試作工場

注型のゴム型とサンプル

 スタートしたばかりの小規模な企業から「工場探しに苦労した」というエピソードが頻繁に聞えてくる。また昔からあるメーカーであっても、これまでお付き合いしたことがない工場へのアプローチは、正直ちゅうちょさせられるものだ。実際に、「一見さんお断り」といった風潮の工場も存在する。

 同社ではWebサイト上で見積もり依頼から発注まで対応する「アークオンラインサービス(AOS)」を提供している。通常の工場によるオフラインな見積もりと比べ、見積もり回答の待ち時間、打ち合わせのために移動する時間など省ける点も魅力である。

アーク コンシューマー事業本部 RP事業部 事業部長 宮城恵徳氏

 AOSでは、3Dデータを同サービスにアップロードし、数量や材料などを選択することで、「最短30分」で見積もり回答が得られ、発注もオンラインで可能だ。もちろん、同社に備える、3Dプリンティング(光造形と粉末造形)、切削加工、真空注型などさまざまなサービスに対応する。

 「1948年の創業以来、大手企業の仕事をたくさん受けてきて、難しい課題の数々に挑んできたおかげで、社内にはかなりの試作ノウハウが蓄積されています」とアーク コンシューマー事業本部 RP 事業部 事業部長の宮城恵徳氏は言う。発注側が深く知らない技術的なことも、同社の技術者や営業担当が親切かつ的確にアドバイスする。加工法についても、納期や品質、予算に合わせて、最適なものを提案する。

 長年、アークで営業に携わってきた宮城氏によれば、同社の強みは「お客さまの目線になって考えること」だという。「営業も生産技術も、現場にいるスタッフの皆が、そういう精神で日々仕事に臨んでいます」(宮城氏)とのこと。顧客のアドバイスの際も、現場スタッフの経験と勘がピピッと働き、機転を利かしてくれることも多々ある。

 「現在は、40歳代以上の熟練技術者がリーダーとなり現場を先導している状況ですが、若手技術者の採用・育成にも積極的に取り組んでいます」(羽田氏)ということ。今後は次世代の匠の活躍にも期待したい。

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提供:株式会社アーク
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2016年12月6日