74作品から選ばれた最優秀賞は? ファブ3Dコンテスト審査結果発表会レポート3Dプリンタニュース(3/3 ページ)

» 2016年11月22日 17時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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13mの高さから落としても卵が割れないエッグパッケージ

カテゴリー4 審査委員長の原雄司氏 カテゴリー4審査委員長の原雄司氏

 カテゴリー4「3Dプリントエッグパッケージ」は、紙などで梱包した卵を割らないようにより高いところから落とすという「エッグドロップ」を3Dプリンタ製作したパッケージを用いて行うというコンテスト。審査委員長のケイズデザインラボ 代表取締役 社長 原雄司氏は「3Dプリンタのコンテストは審査基準が難しいものが多い。そこで、競技的で明快なルールはできないかと考えたのが今回のカテゴリー4だ」と説明する。

 というわけでカテゴリー4は、3Dプリンタで出力した実物に卵を入れて高所から落とすという実戦大会を2016年11月14日に鎌倉学園敷地内で開催。エッグドロップの経験者なども参加する中で、最高不倒距離(?)である13mの高さから落としても卵が割れなかった、東京都 サービスエンジニアの譜久原尚樹さんの「Reacushion(リアクッション)」が優勝し、最優秀賞ノミネート作品となった。

カテゴリー4の最優秀賞ノミネート作品「Reacushion(リアクッション)」 カテゴリー4の最優秀賞ノミネート作品「Reacushion(リアクッション)」(クリックで作品詳細のWebサイトへ)

 このリアクッション、空気をクッションにして落下の衝撃を吸収する構造を採用しており、成績だけでなく、独自性やデザイン性も高いという評価だった。

「リアクッション」の構造 「リアクッション」の構造(クリックで拡大) 出典:ファブ地球社会コンソーシアム

果たして最優秀賞は誰の手に?

 これら最優秀賞ノミネート作品の他、各カテゴリーの特別賞と、コンテンスト参加者への貢献を評価するファブ施設賞が発表された。特別賞は以下の通り。

カテゴリー1の特別賞「星の大きさと距離」 カテゴリー1の特別賞は埼玉県 小学校4年 森本 祐衣さんの「星の大きさと距離」。ある大きな建物を太陽に見立て、その縮尺に合わせて地球や土星などの惑星を3Dプリンタで作り、その惑星の太陽からの距離まで自分で移動して、建物の見掛けの大きさなどを見せるという内容。太陽系を自分の体で感じることができる意欲作 出典:ファブ地球社会コンソーシアム
カテゴリー2の特別賞「3D Printed IoT Pet Feeder」 カテゴリー2の特別賞は中学生(St. Mary’s International School) 高橋秀さんの「3D Printed IoT Pet Feeder」。3Dプリンタと小さな電子基板、モーターで猫の自動餌やり機を開発。提出文書は全て英語!(クリックで作品詳細のWebサイトへ)
カテゴリー3の特別賞『3Dプリンターで「文字」を無理やり日用品にする』 カテゴリー3の特別賞は広尾学園高校 2年 渡辺康太さんの『3Dプリンターで「文字」を無理やり日用品にする』。日用品にできる文字とその用途について、何度も試行錯誤を繰り返してよりよいものを作っていくプロセスが高い評価を受けた。簡単に試せるのはまさに3Dプリンタならでは(クリックで作品詳細のWebサイトへ)
カテゴリー4の特別賞「voronoi egg shell」 カテゴリー4の特別賞は大阪府 プロダクトデザイナー 是枝靖久さんの「voronoi egg shell」。この複雑な形状はコンピューテショナルデザインで設計しており、サポート材も使用していないのだとか。(クリックで作品詳細のWebサイトへ)

 ファブ施設賞は、最優秀賞ノミネート作品のうち、カテゴリー1とカテゴリー2の2作品をバックアップしたファブラボ大宰府が受賞した。

 そして厳正な審査の結果……。最優秀賞にはカテゴリー4のエアクッションが輝いた。

会場では各賞の表彰式も行われた 会場では各賞の表彰式も行われた。ファブ地球社会コンソーシアム代表の田中氏が、最優秀賞に輝いた譜久原さんに表彰状を授与

 ファブ地球社会コンソーシアム代表の田中氏は「人工知能など新しい技術に注目が集まっているが、3Dプリンタは人が手を動かして何かしなければならない点が異なる。次回のファブ3Dコンテストも、そんな3Dプリンタの可能性を感じられるものにしたい」と述べている。

最後は、受賞者と審査委員、副賞提供企業の代表者で記念写真を撮影 最後は、受賞者と審査委員、副賞提供企業の代表者で記念写真を撮影。次回のファブ3Dコンテストに乞うご期待!(クリックで拡大)
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