「ガシャン」などの音から事故や犯罪の状況を検知する技術を開発人工知能ニュース

NECは、音から今起きている状況を認識できる「音状況認識技術」を開発した。公共の場での犯罪および事故の検知や、生活音から高齢者を見守るといった活用が期待される。

» 2016年12月13日 08時00分 公開
[MONOist]

 NECは2016年11月28日、音から今起きている状況を認識できる「音状況認識技術」を開発したと発表した。最先端のAI技術により、環境雑音の混入による目的音の検知感度や認識精度の低下といった問題を解決する。

 音状況認識技術は、マイクが収集した音を認識対象の音(目的音)と認識対象以外の音(環境雑音)に分け、目的音から細かい構成音を抽出する構成音抽出技術と構成音の組み合わせパターンから事象の有無を判別する事象判別技術だ。このAI技術により、判別したいくつかの事象から起きている状況までの認識が可能になる。さまざまな環境で危険状況を高精度に監視できるため、公共の場での犯罪や事故の検知や、生活音から高齢者を見守るなどの活用が期待される。

 音には、目に見えない場所でも状況を認識できるという特性があるため、以前から目的音による音認識技術の開発が進められてきた。しかし、環境雑音の混入による目的音の検知感度や認識精度の低下が課題となっていた。

 例えば、「ガラスが割れた」という事象で発生する音の場合、「ガシャン」「バリン」「パリン」など、環境によって音が変わる。構成音抽出技術はマイクで収集した音を、事前に学習済みの音成分「ガ」や「シャ」、「バ」や「パ」など環境の違いに影響しない細かな構成音に分け、学習させていない未知の音成分は環境雑音に分けることで、高精度な構成音の抽出を可能にした。

 事象判別技術は、環境の違いに影響しない構成音「ガ」や「シャ」、「バ」や「パ」などの組み合わせを事象パターンとして事前に学習し、構成音抽出技術で抽出した構成音と照合することで、目的とする事象の有無を判別する。

 これらの技術により、環境雑音が多い場所の小さな音でも高感度に検知でき、目的音を環境ごとに学習させなくても未知の環境への導入が可能になる。

photo 「音状況認識技術」の概要
photo 構成音抽出技術・事象判別技術の概要

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