HVシステムは「全ての電動車両のコア技術」、トヨタは技術者を2021年までに3割増員エコカー技術(1/2 ページ)

トヨタ自動車が2016年4月にカンパニー制に移行して、8カ月が経過した。カンパニー制の先駆けだった旧ユニットセンター、現パワートレインカンパニーも、開発体制の見直しと強化に動き出している。

» 2016年12月13日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 トヨタ自動車が2016年4月にカンパニー制に移行して、8カ月が経過した。機能ごとに分かれていた本部制の組織を、製品を軸とする小さなカンパニーに分けることにより、迅速な意思決定を行う狙いがある。

 コネクテッドカンパニーは2020年までに日米でほぼ全ての乗用車に車載通信機を標準搭載することを発表するなど、コネクテッドカーの普及を急ぐ。また、完全子会社化したダイハツ工業が新興国向け小型車の開発から生産準備までを担う「新興国小型車カンパニー」も2017年1月に設置する。

 カンパニー制の先駆けだった旧ユニットセンター、現パワートレインカンパニーも、開発体制の見直しと強化に動き出している。

ヘッドオフィス 未来創生センター
コーポレート戦略部、経営支援室等の直轄部署、事業開発本部、渉外・広報本部、総務・人事本部、情報システム本部、経理本部、販売金融事業本部、調達本部、カスタマーファースト推進本部、生産管理本部、TOYOTA Gazoo Racing Factory
ビジネスユニット 第1トヨタ(北米本部、欧州本部、アフリカ本部、国内販売事業本部)
第2トヨタ(中国本部、アジア・中東・北アフリカ本部、東アジア・オセアニア本部、中南米本部)
先進技術開発カンパニー
Toyota Compact Car Company(トヨタ自動車東日本)
Mid-size Vehicle Company
CV Company(トヨタ車体)
Lexus Internatinal Co.(トヨタ自動車九州)
パワートレーンカンパニー
コネクティッドカンパニー
2017年1月新設:新興国小型車カンパニー(ダイハツ工業)
表 トヨタ自動車の新組織

設計、開発、生産技術、生産が同居してパワートレインをつくる

 ユニットセンターは2013年4月に新設され、2016年4月にカンパニー制への移行と同時にパワートレインカンパニーに改称した。

 ユニットセンターは、「世界一の競争力を持つユニットの開発と迅速な製品化の実現」(トヨタ自動車)を目的に、第2技術開発本部(エンジン技術領域、エンジン先行開発領域、ドライブトレイン技術領域、HV技術領域)や、生産技術本部(電池生技開発部、生技開発部、計測技術部、ユニット生技部、鋳造生技部、鍛圧・表改生技部、加工・組付要素生技部、エンジン生技部、駆動・HVユニット生技部、電池・FC生技部)を移管し、開発と生産技術を一体化した。

 生産に関わる部門もユニットセンターに統合している。2014年4月に車両系生産技術・製造本部の各領域(工機領域のメカトロシステム部、ダイエンジニアリング部、スタンピングツール部、貞宝工機管理部)を移管。貞宝工場では機械設備や金型を生産している。また、2015年4月にはハイブリッド車向けインバーターやECUなどを生産する広瀬工場を、車両系生産技術・製造本部からユニットセンターの所管とした。

 設計に関しては、2015年6月にトヨタテクニカルディベロップメントの再編に合わせて「ユニット開発基盤デジタル改革部」を新設。パワートレインの完成度向上や開発期間短縮に向けて、CAD/CAE/VAMの推進や、エンジン、ドライブトレイン、ハイブリッドシステム、生産技術が一体となった開発基盤の構築を狙いとしている。

 ユニットセンター新設に合わせて、2013年2月には“大部屋活動”が可能な「パワートレイン共同開発棟」が稼働した。地上12階建て、延べ床面積10万m2の建屋に、製品開発から試作や工法の検討、車両やユニット単位の製品評価まで部門が集められている。エンジン、トランスミッション、ハイブリッドシステムのプロジェクト関係者がワンフロアに集まり、パワートレインに必要な一連の評価を棟内で迅速に完結できるようにした。

1つの建屋内に開発、設計、生産技術、生産の各部門が同居し、一体となってパワートレインを開発する 1つの建屋内に開発、設計、生産技術、生産の各部門が同居し、一体となってパワートレインを開発する(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車
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