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» 2017年01月12日 10時00分 UPDATE

MONOist IoT Forum 東京 講演レポート:IoT時代の新たなモノづくり基盤をどう構築すべきなのか

IoTによる製造ビジネス革新の動きが加速する中、モノづくりの在り方そのものも大きな変革の時代を迎えようとしている。新たなモノづくりの姿を実現するためにはどういう基盤が必要になるのだろうか。「MONOist IoT Forum 東京」に登壇したオートデスク 技術営業本部 製造アカウント エンジニアマネージャーの加藤久喜氏の講演内容を紹介する。

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 2016年12月7日に東京都内で実施されたセミナー「MONOist IoT Forum東京 IoTがもたらす製造業の革新 〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜」では、IoTがもたらす製造業の変化について「つながる工場」「つながる技術」「つながるサービス」の3つの切り口で、各業界の先駆者たちが講演を行った。本稿では「The Future of Making Things 〜ものづくりの未来〜」をテーマに講演したオートデスク 技術営業本部 製造アカウント エンジニアマネージャーの加藤久喜氏の講演内容をお届けする。

IoTで変化するモノづくりの姿

IoT時代では、製品はユーザーが使用する段階になっても、メーカーと常に“つながり続ける”ことになる。これにより、製品が生み出すデータをどこに収納するのかや、どうやって分析するのか、さらに設計にどうやってフィードバックするのか、などの新たな課題に製造業は直面する。では、こうした中で新たなIoT時代に合わせたシステム基盤を構築するにはどういうことを考えなければならないのだろうか。

 加藤氏は「設計や製造、そしてユーザーが使用するフェーズで、それぞれ新たな変化の動きを捉えていかなければならない」と指摘する。

photo オートデスク 技術営業本部 製造アカウント エンジニアマネージャーの加藤久喜氏

 「設計領域では、グローバル化が進む中、他拠点も含めたコラボレーションが必要になる。また、資本面でもクラウドファンディングで従来規模の面で実現できなかった製品が実現可能となった。一方、生産に対する要求としては、市場変化に合わせたスピードと多様化するユーザーニーズへの対応の両立が求められる中、生産工程を複雑に作り込むのではなくシンプル化する動きが強まっている。さらに、ユーザーの使用情報をセンシングでき、そのデータをデジタル空間に送って分析するサイバーフィジカルシステム(CPS)などの活用が広がりを見せる。どのようにシステムを実現するのかという観点が必要である」と加藤氏はモノづくりを取り巻く環境の変化を説明する。

 こうした変化の局面において「それぞれの工程が分断された現状のモノづくりプラットフォームではいずれ対応するのが難しくなる」と加藤氏は指摘する。そこでオートデスクが提案しているのが、クラウドをベースにした「プロダクトイノベーションプラットフォーム(Product Innovation Platform)」である。

photo オートデスクが提唱している「プロダクトイノベーションプラットフォーム」出典:オートデスク

 「プロダクトイノベーションプラットフォーム」は、同社のクラウドベースの設計基盤テクノロジーである「Autodesk Fusion」を基軸とし、設計から生産、使用・運用段階まで製品の各フェーズで、共通の基盤を構築することにより、製品の情報を一元的に管理するものだ。一元化された情報基盤により、新たな時代のモノづくりに求められる条件に対応する。加藤氏は「設計から生産、使用・運用フェーズをクラウド上で一元的に管理し、同時に改善を進めていくことで、柔軟なプロセスの実施やリードタイムの削減など新たな付加価値を創出できる」と述べている。

マシンが人と共同設計をする時代に

 さらに同基盤を活用することで、各工程でも新たな付加価値を実現する。設計領域で注目されているのが「ジェネレーティブデザイン」である。ジェネレーティブデザインとは「生殖力のある、発生の、生成的な」などの意味を持つジェネレーティブ(Generative)とデザイン(Design)から生み出された言葉である。人手によらず、コンピュータが自己生成的にデザインを生み出す技術として知られている。

 加藤氏は「従来の設計はデザイナーやエンジニアが受動的なマシンとしてコンピュータを利用してきたが、今後はAI(人工知能)技術などを活用することで共同制作者として一体化するような動きが出てくる。こうした技術は将来のものという印象で見られるが、既に活用されている技術であり、軽量化などで人間が思いもよらなかった形状を候補として提示することが可能になっている」と述べている。

photo ジェネレーティブデザインによる椅子のデザインの例(クリックで拡大)出典:オートデスク

 既に工業製品としての実績も数多く存在する。そのうちの1つが航空機メーカーであるエアバスのパーティションの軽量化である。エアバスではパーティションの軽量化のためにジェネレーティブデザインを採用し、プレートの強度を維持しつつ中抜きを行ったパターンを生成。シミュレーションなども組み合わせ、求める強度を維持しつつ45%の軽量化に成功した。これは、航空機の運行において46.5万トンのCO2削減効果があるという。加藤氏は「こうしたジェネレーティブデザインは、人間が考えたものと、バクテリアなどの生物学的なパターンを組み合わせて生まれることが多い」としている。

photo エアバスでのジェネレーティブデザインの採用事例(クリックで拡大)出典:オートデスク

積層造形技術を活用した新たな製造の価値

 製造領域では積層造形(アディティブマニュファクチャリング)技術の活用が注目される。3Dプリンタは既に樹脂を活用したものは試作用途などで活用が定着しているが、今後使用が拡大すると見られているのが、金属3Dプリンタによる最終製品の生産である。航空機業界などが先行しており、ボーイング787などでは30種類以上の3Dプリンタで生産された部品が搭載されているという。

 加藤氏は「積層造形技術を活用した新たな製品の生産方式を実現するには、設計部門と生産部門の両方を同時に改革することが求められている。特に金属3Dプリンタでの生産による新たなワークフローの確立が必要になる」と述べている。

photo 産業向け積層造形技術のワークフロー(クリックで拡大)出典:オートデスク

IoT化で求められるフィジカルとバーチャルの融合

 使用・運用の領域ではIoTによる稼働監視などが注目されている。IoTの価値としてよく語られるのがCPSだ。これは現実世界の情報をIoTデバイスでセンシングして通信で収集し、これをクラウド上などの仮想空間で分析して知見を現実世界にフィードバックするというシステムである。これらを実現するには、現実世界のデータ化がまず重要になる。

 現実世界のデータ化を実現する技術として注目されているのが、リアリティーキャプチャー技術である。例えば、工場の情報をデータ化する場合、改善活動などで日々進化する工場の3次元データが手元にある場合は少ない。リアリティーキャプチャーはこの現実世界と仮想世界の連携のギャップを埋める技術として注目されている。オートデスクがもつ独自のリアリティーキャプチャー技術「Autodesk ReCap」は既に多くのケースで活用されている。例えばサンフランシスコの街を全て3次元データ化するプロジェクトにも採用されている。またVR(仮想現実感)技術なども活用し、現実世界の形状のデータに、センシングデバイスなどで取得したデータを組み合わせることで、CPSの付加価値を分かりやすく実現する提案を行っている。

 加藤氏は「こうした技術は、全てプロダクトイノベーションプラットフォームを通じて既に現在活用できる技術である。こうした技術を活用した先進的な事例を日本発で発信できるように貢献していきたい」と今後の取り組みについて述べている。

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提供:オートデスク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月11日