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» 2017年01月26日 13時00分 UPDATE

ロボデックス:社会問題解決のショーケースへ、「ロボット大国」実現に向けた政策支援 (1/2)

ロボデックス開催に合わせて実施されたロボデックスカンファレンス「世界に革命を起こす!日本のロボット新戦略とは」では、開催記念講演として経済産業省 製造産業局 産業機械課 ロボット政策室室長の安田篤氏が登壇。「ロボット革命の実現に向けて」をテーマにロボット市場の現状と、さらなる普及拡大に向けて政府の取り組みを紹介した。

[長町基,MONOist]

 産業用ロボットから、ロボットの開発技術、IT、AI技術までが一堂に集まった「第1回ロボデックス」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)の実施に合わせてロボデックスカンファレンス「世界に革命を起こす!日本のロボット新戦略とは」が開催された。その開催記念講演に経済産業省(経産省) 製造産業局 産業機械課 ロボット政策室室長の安田篤氏が登壇。「ロボット革命の実現に向けて」をテーマにロボット市場の現状と、さらなる普及拡大に向けて政府の取り組みを紹介した。

高い成長率を維持するロボット

 日本はロボット稼働台数と出荷台数で世界有数の「ロボット大国」といわれている。稼働台数は約30万台で世界全体の約5分の1を占める。出荷台数も2013年度に中国に逆転されたものの、引き続き順調な伸びを維持している。出荷高は2014年度には産業用ロボットが約5900億円で、うち輸出が72%を占める。サービス用ロボットも急速に市場が立ち上がっており、主に国内向けに同年度の出荷高は約610億円に達し、今後さらに大きな伸びが予想される。

 このように世界の産業用ロボット市場における日系企業の国際競争力は高く、アーク溶接ロボットの市場シェアは約7割、双腕ロボットでは8割以上を誇る。世界的な産業用ロボットの市場拡大により、日本からの産業用ロボット輸出額は直近5年間で約80%増加した。一方、中国市場の台頭により、ドイツ、韓国は中国への輸出額を直近5年間で10倍以上に増やし、同じく4倍以上増やした日本を含め、中国市場での競争激化が見込まれる。そのため、日本のロボット産業は引き続き競争力を維持、強化していくことが重要だ。

photo 経済産業省 製造産業局 産業機械課 ロボット政策室室長の安田篤氏

 ロボット市場の今後については、生産現場での活用のさらなる拡大とともに、サービスの場や介護、社会インフラの点検などの場での拡大が期待される。国内では「従業員が不足する」と予測する中小企業の割合は、「従業員が足りる」とする企業の割合よりも大きく上回っており、人手不足感は年を追うごとに強まっている。製造業では特にどの雇用形態および職種でも人手不足感は強く、「専門技術」「技能工」「単純工」などの工場で作業する職種を求める動きが強い。

 さらに、高付加価値業務を担う人材が不足し、生産性を上げられない状況にある。企業の成長には利益率や売上高を伸ばすことが重要だが、そこで積極的に投資を行う意識は低く、現状ではロボットなどの設備投資には結び付いていない。

 介護分野でもユーザーサイドからロボットの導入が期待されている。2015年前後から高齢者は毎年100万人増加している。一方で、介護職員の数は2010年の150万人から2025年には240万人が必要とされている。こうした中で、負担を削減するためにも介護ロボットの導入が求められている。

 この他、道路橋、トンネル、河川管理施設など老朽化する社会インフラの点検を支援するためにもロボットなどによる機械化が期待されている。「こうしたユーザーサイドの事情も含めてロボットを通じた社会問題解決を実現するために、安倍総理の主導によるロボット革命実現会議が設けられ、2015年1月にロボット新戦略が策定された」(安田氏)という※)

※)関連記事:「ロボット新戦略」が生産現場にもたらす革新とは?

ロボット新戦略が目指すもの

 同戦略では、2020年までの5年間をロボット革命集中実行期間と位置付け、官民で総額1000億円規模をロボット関連プロジェクトへ投資する。また、ロボットの市場規模を2020年に年間2.4兆円へ拡大する目標をかかげており、目標達成を目指して「モノづくり」「サービス」「介護および医療」「農業」「インフラ、災害対応、建設」の5つを、ロボット活用を進める重点分野として定めた。

 こうした取り組みを進めるうえで、規制改革として「ロボットバリアフリー社会」の実現を図るため、ロボットが使用する電波のルール整備や目視点検のロボット化(インフラ保守)、飛行ロボットに関するルール整備など関係制度の見直しなどを行っている。また、ロボット新戦略を具体的に推進するため関係団体、企業などが参画したロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)を2015年5月に立ち上げた。

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