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» 2017年02月20日 10時00分 UPDATE

“イノベーション思考”で発想が変わる!(6):イノベーションは空から突然降ってくると思いますか? (1/3)

発想を生み出すためには「考え方の技術」がある。コツの解説と演習を通じてその技術を身につけてもらおうという当連載。前回に引き続き、演習問題の解説編をお届けします。

[桑山和彦(株式会社VSN VIエキスパート ),MONOist]

 過去5カ月にわたって、現代を生きるエンジニアに求められる「イノベーション思考」について解説してきましたが、いよいよ最後となりました。最終回となる今回は、「バス利用者の不満を解消するには?」という演習問題のWeb上でのフィードバックを行います。

 「イノベーション思考」は一朝一夕で身に付くものではありません。何度も繰り返し、日常的に使っていくことで自然とその思考法で考えることができるようになるのです。演習問題に未回答の方はぜひ一度以下のテーマの解決策を「イノベーション思考」で検討してから読み進めてみてください。

テーマ:バス利用者の不満を解消するには?

A社は、最寄駅から2km、徒歩25分の位置に事業所がある。通勤者が最も集中する朝夕の時間帯に、通勤専用の社有バスを運行しているが、いつも乗客が定員オーバーで乗れない社員が多くおり、利用者の不満が多い。

「計算要素」で上位概念を考える!

 今回も私の手元にいくつか回答例が届きました。その1つを見ていこうと思います。

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 では、まず1段目を見ていきましょう。

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 2つ目の箱「多種多様な働き方を認める」は、何かしらの目的に対する手段ですよね。その目的を考えると中間概念の存在に気付きます。つまり「繁忙分散したい、乗車人数を平準化したい」という目的でしょう。

 これは第4回で書いた、「計算要素で考える」の「効率」の部分に当たります。そうすることで、バスを利用する人の通勤時間をズラすことだけではなく、バス利用時間の制限を部署ごとに設ける、特定の運行便に対して有料化するなどのアイデアも出てきます。

 同じことが3つ目の箱でも言えます。これは1台当たりの乗客数を減らす、という上位概念の一部に過ぎず、そうなると解決策にモレが生じていることになります。

「隠れた前提」を打ち破る

 それぞれの切り口を見ていきましょう。

 まず「通勤乗り物の絶対数を増やす」ですが、これは面白いですね。「バスの数を増やす」と書いてしまいそうなところを、「バスに限らなくていいじゃないか」というクリティカルな発想から、上位概念を考え出すことができています。

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 このような素晴らしい考えを目の当たりにした時、私自身の考えが狭かったことにはっと気付くことがあります。

 3段目ですが、「バスの本数を増やす」の下が思いつきになっていて、MECEが守られていません。「車通勤を認める」の下には車の属性が入っており、切り口がバラバラになっています。

 「会社が用意した車」と「レンタカー」はどう違うのか? 「レンタカー」は自腹なのか? など、解決策として判断に迷いがでてしまいます。切り口ははっきり、誰が見ても“考えのプロセス”が可視化できていることが大事です。同じく「バス以外の会社専用乗り物」も、「会社が用意した車」とダブってしまいます。上位概念で、「会社のもの」「私物」と分けておくと、きれいにMECEが成立したでしょう。

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