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» 2017年03月16日 06時00分 UPDATE

設計開発ツール:MATLABに自動運転向け画像認識アルゴリズム、映像へのラベル付けなど効率化 (1/2)

MathWorks Japanは、モデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新バージョン「R2017a」を発表した。製品ラインアップには、自動運転システムや先進運転支援システム(ADAS)に向けた新製品「Automated Driving System Toolbox」を追加した。同梱したさまざまな画像認識アルゴリズムで開発を支援する。

[齊藤由希,MONOist]

 MathWorks Japanは2017年3月10日、モデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」の最新バージョン「R2017a」を発表した。製品ラインアップには、自動運転システムや先進運転支援システム(ADAS)に向けた新製品「Automated Driving System Toolbox」を追加した。同梱したさまざまな画像認識アルゴリズムで開発を支援する。

 画像認識や物体検出、センサーフュージョンとその結果に基づく走行ルート決定といった自動運転システムに必須となる機能の設計やシミュレーション、テストの効率化に貢献する。

センサーフュージョン、判断機能の開発で課題となること

 自動運転システムやADASは、1つ1つのセンサーの信号から障害物の有無や距離を検出し、全てのセンサーの検知結果をとりまとめて統合処理を行って自車周辺の環境を認知する。その結果を基に車両が取るべき行動やルートを判断しし、実際に車両のアクチュエーターを制御する。

自動運転システムやADASの構成 自動運転システムやADASの構成(クリックして拡大) 出典:MathWorks Japan

 MathWorksの製品はセンサーの信号処理や認識アルゴリズムの開発でMATLABが、車両制御のモデルベース開発にはSimulinkが採用されてきた。その間をつなぐセンサーフュージョンや周辺環境の認知、走行ルートの決定については、C言語やC++言語による従来の開発手法がとられている。

 自動運転システムやADASの開発工程では、段階ごとにさまざまな課題があるという。実装前の段階では、システムの認知・判断のアイデアを実際に動作させて評価するまでに時間を要する。C言語やC++言語でコードを記述する作業も伴う。

 実装後の機能検証では、映像中の検出対象にラベル付けして認識アルゴリズムの正確さを評価するための“模範解答”を作る作業(Ground Truth Labeling:グラウンド トゥルース ラベリング)の負担が大きい。また、認識結果を示したオブジェクトリストと模範解答を突き合わせて照合する工程も省力化が課題となっている。さらに、自動車アセスメント評価の試験要件に合わせたシステムの検証も必要になるが、実車を使った評価のみでは効率に限界がある。

開発ワークフローで発生している課題 開発ワークフローで発生している課題(クリックして拡大) 出典:MathWorks Japan

画像認識アルゴリズムがMATLABに

 実装前の段階では、Automated Driving System Toolboxや、Computer Vision System Toolboxに含まれるさまざまなアルゴリズムを使用して機能のアイデアを具現化できるようにする。

 アルゴリズムは学術論文など無償で公開されているもので、歩行者や車両、車線の検知をカバーしている。機械学習や深層学習(ディープラーニング)による画像認識にも対応する。動く物体の追従や、センサーフュージョンのアルゴリズムも含まれる。車両の進行方向を撮影した映像を俯瞰表示に変換する機能も搭載している。

 こうしたアルゴリズムはMATLABベースで記述するため、カスタマイズが容易になるという。また、C言語ではプログラミングに使うデータの変数を決めておく必要があるが、MATLABは変数の定義が不要となる。このためプログラムの記述量も少なくなる。MATLAB Coderを使えばC言語やC++言語のソースコード生成もできる。

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