日本に2カ所しかない電磁波耐性試験設備、OKIエンジニアリングが導入車載電子部品(2/2 ページ)

» 2017年04月24日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
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「われわれは、ただ設備を買いそろえているだけではない」

 リバブレーションチャンバーは、多方向からの電磁波耐性試験を行える設備だ。従来の設備は1方向での電磁波耐性試験しか行えない。そのため、多方向で検証するためには、何度も電磁波を当てる向きを変える必要がある。

 リバブレーションチャンバーは内壁が金属で覆われており、風車のような形状の撹拌(かくはん)装置によって電磁波を反射反響させている。これにより、実環境で起きる電磁波の反射波を再現する。自動車以外にも航空宇宙や防衛などの業種で使われる。

電波暗室で電磁波を当てたり、発生するノイズを測定したりする様子。従来の設備では1方向からしか電磁波を当てられない(クリックして拡大)
リバブレーションチャンバーは金属の壁で囲まれた小部屋。風車のような装置が電磁波を撹拌(かくはん)して反射を起こす。海外には体育館のような大きさのリバブレーションチャンバーもある(クリックして拡大)

 海外では体育館ほどの大規模なリバブレーションチャンバーも存在するが、日本ではまだ導入が進んでいない。リバブレーションチャンバーの設備が海外メーカー製だからだ。OKIエンジニアリングは国内でも多方向からの電磁波耐性試験の需要が高まると見込み、導入に踏み切った。

 今後、自動車のコネクテッド化によって通信が多用されることにより、車載電子機器は車内外の多方向から多様な電磁波にさらされる。電磁波耐性試験の試験時間短縮も図れる。こうした傾向を受けて、欧米自動車メーカーがリバブレーションチャンバーによる試験を採用し始めている段階だ。

 OKIエンジニアリング 代表取締役社長の柴田康典氏は「自動車メーカーや大手のティア1サプライヤーでなければ1社単独で持てない設備をそろえるのが、われわれの役目だ。しかし、設備をただ買うだけではない。自動車メーカーごとに試験の要求や条件が異なる場合や、試験結果から原因と対策を分析することに対応できるのが特徴だ」と説明する。

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