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» 2017年05月12日 06時00分 UPDATE

和田憲一郎の電動化新時代!(24):追い込まれた日系自動車メーカーは、世界最大の市場でどんな夢を見るのか (3/3)

[和田憲一郎(日本電動化研究所 代表取締役),MONOist]
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 しかしながら、新エネ車のさらなる急伸は、日系自動車メーカーに大きな危機をもたらす。もちろん、いろいろな方策を検討していると思うが、以下のようにかなりの制約条件がある。

ライセンス制の現地生産

 新エネ車を生産するには、これまでとは別にライセンスを申請し認可を得る必要がある。現時点でライセンス認可された企業は13社で、全て現地資本の中国企業である。中国政府は2020年までに20社をめどと言っているが、ドイツ自動車メーカーもまだ認可されておらず、どうなるのか不透明な状態にある。ただ、報道によればドイツ 首相のアンゲラ・メルケル氏と中国 首相の李克強氏が本件に関して会合をもったとの情報もある。ドイツ自動車メーカーのライセンス認可について既に道筋はつけられているのかもしれない。

主要部品の生産も国家の承認が必要

 もう1つ重要なことは、新エネ車の主要部品である電池やモーター、インバータなども現地生産を前提に国家承認を得なければならないことである。電池などは既に数十のサプライヤーが承認されているが、全て現地資本の中国企業であり、日系企業は入っていない。

 これからいえることは、中国市場向けのモデルでは、日米欧の市場向けに開発した電池メーカーを使用することができず、新たに中国のサプライヤーを検討するなどの対応が必要となる。なお、既に中国電池メーカーは、新エネ車の急増により需要が逼迫(ひっぱく)しており、日系自動車メーカーからの厳しい要求仕様や品質レベルに対応できるかどうかは不透明である。

日系自動車メーカーはどんな夢をみる

 日系自動車メーカーは新エネ車市場で出遅れたことにより、かなり追い込まれてしまったことだけは間違いない。そして、このままいくとNEV規制の強化により、ガソリン車で稼いだ収益をNEV規制の罰金もしくはクレジット獲得費用などに費やさなければならない。つまり、これまで収益源であった中国市場がほぼゼロもしくはマイナス要因となってくる。

 今後の打ち手については、既に多くの方々が検討しており、これからは筆者の蛇足かもしれないが、考えを述べてみたい。

 将来の夢をイメージするとき、まず悪い方を考えると、まさに悪夢となる。生産台数が少ない企業は、新エネ車を上手く開発して市場に投入することができず、結局、中国市場から撤退、もしくは生産規模の漸進的な縮小が挙げられる。しかし、一般的には何とか中国市場にとどまり、今後も活動を続けて行きたいと思うであろう。

 その時、よくある考え方の1つが「暫定対応」だ。現在のガソリン車を改造してNEV規制が通るように開発して300〜500台を製造する方法である。米国ZEV規制で採用した方法を中国NEV規制でも適用しようと考える人がいるかもしれない。

 しかし、筆者はお勧めしない。なぜなら、上述の通り、電池やモーターなど主要部品は国家承認、さらに自動車メーカーが生産するにもライセンス認可を得なければならず、小手先で対応できるとは思えないからである。つまり、米国ZEV規制とは状況が全く異なる。

 もし確かな打ち手は何かと問われれば、かなり勝手な意見かもしれないが、今後、新エネ車が中国市場の本流となることを前提に、腰を落ち着けて本格的に現地の電池メーカーや部品メーカーを指導・育成し、将来に渡って中国に貢献するという姿勢で臨むことが良いように思える。

 また、ライセンス認可などはポリティクスな面もあり、民間企業でいくら動いてみても、ポリティクスはポリティクスでないと解決できない点もあろう。

 思い返せば、1984年にVWが上海フォルクスワーゲンを作り、セダン「サンタナ」を製造し始めたことが中国への外資参入のキッカケとなった。今回は自動車産業に関する第二の創成期として、新エネ車への対応が本気かどうか問われていると思われる。それができなければ、中国市場は遠のいていくのではないだろうか。

筆者紹介

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和田憲一郎(わだ けんいちろう)

三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。



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