有機ELで4つ目の表示デバイス、テレビ生産が変わること変わらないことメイドインジャパンの現場力(10)(5/5 ページ)

» 2017年06月07日 13時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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モノづくり道場によるマザー工場としての価値

 「人」の価値を中心に据える中で重視しているのが「モノづくり人材の育成」である。モノづくり革新センターは、国内向けのテレビの組み立て生産を行う工場としての役割に加えて、世界のテレビ生産におけるモノづくり技術を開発し、海外拠点の技術力向上を実現するマザー工場としての役割を担っている。

 パナソニックのテレビ生産は、宇都宮の他、チェコ、インド、台湾、ベトナム、マレーシア、メキシコ、ブラジルの世界7拠点で行われている。生産するテレビのラインアップが異なるために生産ラインをそのまま移管することはないが「モノづくりの要素技術は共通である。モノづくりをどう行うかという点や、安定し高品質なモノづくりの土台になる人材の教育などの部分は共通である。こうした取り組みをモノづくり革新センターで行っている」と阪東氏は、モノづくり革新センターの役割について述べている。

 新たな製品ラインの立ち上げの際には従業員の相互交流なども積極的に行っている。有機ELテレビについても、モノづくり革新センターでの生産とほぼ同タイミングでチェコ工場での生産を開始するが、生産方法に関するノウハウ共有など相互連携も行っているという。また、マレーシア工場での生産も開始する計画だが、こちらもノウハウ共有を進めていく計画である。

 具体的な取り組みとして、モノづくり革新センターでは、モノづくり人材の教育のため「モノづくり道場」を設置している。この道場を活用しモノづくりの基本の習得をベースに、グローバルでの人材育成に取り組んでいる。従業員は基本となる安全などの基本的な理解を座学で勉強する他、道場内に用意したグローバル標準セルで、組み立て生産におけるビス打ちや完成検査、外観検査、10点管理などの技能を習得する。

photo モノづくり道場の看板

 スキル習得者は作業に必要な標準時間に対する達成率により、黒帯、緑帯、青帯などのスキル評価で分けられ、それぞれの能力に応じた作業を行う。従業員の名札にはスキルが表示され、どの従業員がどの技能を保有しており、他の生産ラインで人手不足などが発生した際の応援なども柔軟に行えるようにしている。

photo モノづくり道場でのスキル習得の様子。画面奥の「ビス打ちできるくん」のような教育用の計測機器なども用意し、標準時間の設定などを行う(クリックで拡大)

 阪東氏は「有機ELテレビのようにインテリアとしての価値を持つようなデザインの実現には、設計部門と製造部門が一体となって取り組まなければ実現できない。それぞれでノウハウを持つ人が関わるからこそできる創意工夫を合わせることで新たな価値を生み出すことができる。全て自動化や機械化、効率化すれば良いというものではないと考えている。テレビの生産においても、モノづくりで新たな価値を発揮できる余地はまだある。そういう価値の源泉となるヒトづくりを進めていくことがモノづくり革新センターの役割でもある」と考えを述べている。

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