連載
» 2017年06月23日 11時00分 UPDATE

いまさら聞けないHILS入門(10):HILSを使ってECUをテストする(その2) (1/3)

車載システムの開発に不可欠なものとなっているHILSについて解説する本連載。今回は前回に引き続き、HILSを用いてどのようにECUをテストするかについて説明します。アイドリング機能や回転数制御、過回転防止機能の手動テストはどのように行うのでしょうか。

[高尾英次郎,MONOist]

 前回に引き続きHILSを使ってECUのテストを行います。今回は、アイドリング機能や回転数制御、過回転防止機能の手動テストについて紹介します。

※注)過回転防止機能は、前回まで過渡性能と呼んでいたものと同じ制御内容です。

アイドリングの動作

 アイドリング制御の機能テストを考えるに当たって、今回も、実機のエンジン発電機のECUがアイドリング時にどのように働くかを考えてみます(表1)。

Step 人の操作 ECU プラント 備考
1 コントロールスイッチは、OFFポジション
起動スイッチ、停止スイッチはともにOFF
アイドリング回転数では、エンジン損失トルクに釣り合うように噴射量を調節 発生トルクとエンジンの摩擦などの損失トルクが釣り合って、一定回転数を保持 エンジン損失トルクは、おおむね一定(連載第6回−図4参照
2 アイドリング回転数よりも低回転時は、アイドリング回転数より多い燃料を噴射 発生トルクがエンジン損失トルクより大きくなり、回転数を増加してアイドリング回転数に戻る
3 アイドリング回転数よりも高回転時は、アイドリング回転数より少ない燃料を噴射 発生トルクがエンジン損失トルクより小さくなり、回転数を低下してアイドリング回転数に戻る
表1 アイドリング時のシステムの動作

アイドリング制御仕様

 表2にアイドリング制御仕様の概要を、図1にアイドリング噴射量マップの一例を示します。マップは、コントルールSWがOFFの場合の噴射量を規定し、以下の要件を考慮しています。

  • アイドリング回転数600rpmの噴射量は、無負荷運転に必要な噴射量と同じにする
  • 100rpm以下は無噴射、100〜200rpmは、低温始動時に自立運転可能とする噴射量とする
  • 1000rpm以上では、速やかにアイドル回転数ま図2で回転数が低下するよう無噴射とする
表2 表2 アイドリング制御仕様(クリックで拡大)
図1 図1 アイドリング燃料噴射マップのイメージ(クリックで拡大)

アイドリング機能のテスト

 テストは、表3の手順に従って行います。

※注)表3および表5に示すテストは、表2および表4に掲げた制御仕様を検証するためのテストの一例を示したもので、特定の規格に基づくものではありません。

手順 Step 項目 テスト作業
1.1 1 テスト前条件設定 エンジンを起動完了状態とする。起動スイッチオフ状態、エンジン回転数を200rpmとし、スロットル、インジェクターパルス、イグニッションパルスが正常作動し、トルクを発生している状態
または、「起動スイッチオン⇒スターター作動(200rpm)⇒自立運転開始⇒起動スイッチオフ」の一連の起動操作により起動完了の条件を設定
2 操作 条件設定後、回転数をプラントモデル出力に切り替え、制御ループを有効にする
3 観測・測定 エンジン回転数、噴射パルスおよびスロットル開度、イグニッションパルスを観測
回転数が、アイドリング回転数まで上昇後、アイドリング回転数を中心とする数十回転の変動範囲内で安定すること。燃料噴射量は、マップに従って回転数とともに減少後安定すること
1.2 1 テスト前条件設定 エンジンを60Hz(または50Hz)負荷運転終了状態とする。HILS機能によりエンジン回転数を3600prm(または3000rpm)とした後に制御ループを有効にする
2 操作 条件設定後、回転数をプラントモデル出力に切り替え、制御ループを有効にする
3 観測・測定 エンジン回転数、噴射パルスおよびスロットル開度、イグニッションパルスを観測
回転数が、アイドリング回転数まで下降後、アイドリング回転数を中心とする数十回転の変動範囲内で安定すること
表3 アイドリング機能のテスト手順
       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.