DMS2017

工業用測定器や大手メーカーの開発現場でもプロトラブズ、モベリオやおむつポンでもDMS2017(1/2 ページ)

プロトラブズは「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」(2017年6月21〜23日、東京ビッグサイト)において、日本電色工業やシヤチハタ、セイコーエプソンなど国内の顧客事例を披露した。

» 2017年06月30日 14時00分 公開
[小林由美MONOist]

 プロトラブズの日本法人は「第28回 設計・製造ソリューション展(DMS2017)」(2017年6月21〜23日、東京ビッグサイト)において、最新の同社サービス関連の展示と併せ、顧客による事例を披露した。過去の同社の展示ではサービスの内容の訴求とサンプル展示がメインであり、事例を全面に出した展示は今回が初だという。

 プロトラブズはオンラインで見積もりから発注、納品までの処理の一切が行われる、試作・小ロット生産を専門とする製造サービスで、欧米と日本で展開している。オンラインならではのスピード感と高品質の両立をアピールしてきた。

最新サービスに関する展示

 今回展示をしたのは、日本国内における、さまざまな業界の小ロット生産や試作の事例だ。同社社長のトーマス・パン氏自らが事例について紹介してくれた。

プロトラブズ(日本法人) 社長 トーマス・パン氏

 中でも日本電色工業の事例は、今回が初公開となった。日本電色工業は色彩測定器を設計製造する企業だ。色彩測定器はヒトの歯色のチェックや、水質検査などに利用される。工業用計測器の中でもニッチな存在といえる。同社はポータブル水質計「WA-2/WA-2M」の筐体のフタとボディ、内部の試料室における試作と生産でプロトラブズを活用した。

 「今までの当社では、メイカーズのようなスタートアップ系の事例の公開が目立っていたが、こちらはそれとは少し違う雰囲気。このようなニッチな分野も小ロット生産の世界でも当社のニーズがある」(パン氏)。

 同製品には筐体のフタ(液晶画面の左側)にアンダーカットで形成した取っ手部があり、よく見ると側面にもアンダーカットがあった。

ポータブル水質計「WA-2/WA-2M」

 今回のこだわりのモノづくりをプロトラブズを利用したという。「あちこちにスライドを設けなければならず、金型加工としては結構面倒な部類」(パン氏)。金型製作コストを抑えるべく、デザインをシンプルに、アンダーカットの数を減らして製作したという。

 プロトラブズのサービスは事務用品メーカーのシヤチハタの「おなまえスタンプ おむつポン(おむつポン)」でも活用された。こちらは大手メーカーによる試作の例だ。保育所に行く子どもに持たせるあらゆる物に記名しなければならず、オムツも同様である。特にオムツは1日に何枚も持たせるため、マジックでの名前書きは、まさに苦行状態だ。そのニーズに目を付けた同社が開発した、名前スタンパーのおむつポンだった。同製品は企画のキックオフから上市までが約1年半と、非常に短期の開発だった。

「おなまえスタンプ おむつポン」の事例について

 「オムツに名前を書くのは大変なこと。自分自身も昔、保育所に子どもを送りにいった時、持参したオムツに名前を書き忘れていて、園でペンを渡され、やむを得ず書いた思い出が。出勤前で急いでいるタイミングで書かなくてはならず、しかもオムツの上は非常に書きづらかったのをよく覚えている」(パン氏)。ちなみに、2歳の息子がいる筆者も日頃、とてもお世話になっている一品だ。

 同製品の開発において、耐溶剤性や気密性、経時保存性などを評価する試作でプロトラブズの射出成形サービスを活用している。「規格でリサイクル材料の採用が義務となっているため、リアルな材料での評価が必須だったと聞いている」(パン氏)。

 同製品において、3Dプリンタや切削加工による試作では使用状況が再現できず、極力、量産時の状況での評価が必要だったという。かといって、通常の工場の射出成形では、打ち合わせを含めて、とにかく時間がかかってしまう。そこで白羽の矢が立ったのが、プロトラブズだった。

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