特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2017年09月06日 10時00分 公開

製造業IoT:日本の製造業はソフト指向が進まずデータ利活用も遅れ、それでも5年後は大丈夫 (1/2)

ジェムアルトは、日本を含めた世界300社の製造業を対象に行った調査「ソフトウェアがもたらすハードウェアルネッサンス」の結果を説明。「日本の製造業は、世界に比べてソフトウェア指向への転換の進み具合は低く、データの利活用も遅れている。しかし、将来に向けた意気込みは高い」(同社)という。

[朴尚洙,MONOist]
ジェムアルトのアリエラ・ショーハム氏 ジェムアルトのアリエラ・ショーハム氏

 ジェムアルト(Gemalto)は2017年9月4日、東京都内で会見を開き、日本を含めた世界300社の製造業を対象に行った調査「ソフトウェアがもたらすハードウェアルネッサンス」の結果について、世界全体と日本を比較して説明。「日本の製造業は、世界に比べてソフトウェア指向への転換の進み具合は低く、データの利活用も遅れている。しかし、将来に向けた意気込みは高い」(ジェムアルト ソフトウェアマネタイゼーション事業本部 マーケティング シニアディレクターのアリエラ・ショーハム氏)という。

 同社はソフトウェアのライセンス管理や収益化を行うプラットフォーム「Sentinel」を展開している。製造業がIoT(モノのインターネット)活用を重視する中で、モノづくりにおけるソフトウェアの重要性は高まっており、同社は「ソフトウェアがハードウェアの価値を高める」として、製造業に向けたSentinelへの提案を強化しているところだ(関連記事:製造業はIoTを収益化できるのか、ソフトライセンス管理の仕組みで実現)。

 今回の調査は、製造業がソフトウェア指向になっているかなどを聞く「ビジネスモデル」、製品からデータを収集、活用しているかを聞く「データ利活用」、IoTにどのような期待を抱いているかを聞く「IoTのビジネス効果」に分かれている。調査対象となった300社は、英国50社、フランス50社、ドイツ50社、米国100社、日本50社から成る。企業規模は、80%以上が社員数250人以上と中堅以上となっている。また業種については、ヘルスケア/メディカルが36社、ネットワーク製品が70社、自動工作機械が124社、産業機械が69社、その他が1社。「自動車などの輸送機器は、今回対象外とした」(ショーハム氏)。

調査目的調査対象の属性 「ソフトウェアがもたらすハードウェアルネッサンス」の調査目的(左)と調査対象の属性(右)(クリックで拡大) 出典:ジェムアルト

「時流に乗り遅れないため」のビジネスモデルの転換

 「ビジネスモデル」のうち「ビジネスモデルの転換を促す要因」では、世界全体では1位が「売上拡大」、2位が「コスト削減」になった一方で、日本は1位が「市場競争力強化」、2位が「将来に向けた戦略を柔軟にし時流に乗り遅れないため」となった。特に、「売上拡大」については世界全体の54%に対して日本は34%と低く、逆に「将来に向けた戦略を柔軟にし時流に乗り遅れないため」は世界全体の21%に対して日本は45%と高い点は、大きなギャップになっている。

ビジネスモデルの転換を促す要因ソフトウェア指向事業モデルの導入効果 「ビジネスモデルの転換を促す要因」(左)と「ソフトウェア指向事業モデルの導入効果」(右)の調査結果(クリックで拡大) 出典:ジェムアルト

 「ソフトウェア指向事業モデルの導入効果」では、世界全体、日本とも「SKU(最小管理単位)の統合(ライセンシングの導入)」「カスタマエクスペリエンスの改善」が1位、2位となった。ショーハム氏は「例えば、通信機器メーカーのジュニパーネットワークスは、顧客ごとにハードウェアを開発するのではなく、1つのハードウェアでソフトウェアにより提供するサービスを変えていくことでSKUを統合している」と説明する。

 「売上とコストに及ぼす影響」中で売上については「増加する」が94%を占めた。調査対象の全体平均でも11%の売上増加の効果がみられたという。一方、コストについては、「増加する」が50%、「変化なし」が13%、「減少する」が37%と意見が割れた。調査対象の全体平均でも2%のコスト増加という結果になっている。「コスト増の要因は、新たなビジネスモデルの導入時に必要な人材の雇用やトレーニングとみられる」(ショーハム氏)という。

「売上とコストに及ぼす影響」の調査結果 「売上とコストに及ぼす影響」の調査結果(クリックで拡大) 出典:ジェムアルト

 「ソフトウェア指向の事業モデル 立案時の課題」で、世界全体と日本を比較したときの顕著な差は「計画中」の割合だった。世界全体の14%に対して、日本は42%と高く、取り組みが遅れていることが見てとれる。また、「ソフトウェア指向の事業モデル 導入時の阻害要因」では、世界全体が「専門家の新規雇用」を1位としたのに対して、日本は「従業員削減」と「導入したソリューションが事業規模に合わない」を同率1位に挙げた。世界全体の“新規雇用”に対して、日本が“人員削減”とするところは、日本の製造業がが“保守的”とされるゆえんかもしれない。

ソフトウェア指向の事業モデル 立案時の課題ソフトウェア指向の事業モデル 導入時の阻害要因 「ソフトウェア指向の事業モデル 立案時の課題」(左)と「ソフトウェア指向の事業モデル 導入時の阻害要因」(右)の調査結果(クリックで拡大) 出典:ジェムアルト
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