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» 2017年09月12日 11時00分 公開

車載セキュリティ:「つながるクルマ」の安全を描く、車載セキュリティベンチャーの挑戦 (2/2)

[三島一孝,MONOist]
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情報系ではなく走行系で役立つセキュリティ

photo 「走行系で力を発揮する」と述べる蔵本氏

 ホワイトモーションが提供する具体的なサービスは、電波暗室やシャシーダイナモなどを使った実走行環境に即した脅威分析、ECUごとの脆弱性評価、エンジニア向けのトレーニングなどである。また、カルソニックカンセイ製品へのセキュリティソフトウェアの搭載などにも取り組んでいる。

 クルマの技術は、カーナビやオーディオなどの情報系(インフォテインメント)と自動車そのものの「走る」「曲がる」「止まる」を支える走行系の技術とに大別されるが、ホワイトモーションがメインターゲットとしているのは走行系技術のセキュリティである。

 蔵本氏は「情報系技術についてはOSにAndroidが使われるなど、基本的にはITのセキュリティと変わらない状況になっており、同じアプローチが使える。自動車系とIT系の両方のノウハウを保有するホワイトモーションの特徴を発揮できるのは、走行系の領域である。この領域では特に、完全性と可用性が重視されるため、これらを確保した上で、セキュリティをどう実現するのかというのが最大の課題であり、開発テーマである」と取り組みについて述べている。

photo 「試験設備などを保有しているところも強みだ」と述べる石橋氏

 走行系技術に取り組む上で重要になるのが機密保持の確保である。セキュリティ検査などを行う上で、自動車メーカーなどの未発表の車両や部品などを預かる必要性なども生まれるが、IT系企業では機密保持した上で試験を行える設備がない。ホワイトモーションは「カルソニックカンセイが持つ、機密保持に配慮した試験設備なども活用できるため、セキュリティ技術とともに実車や実機を使った試験を組み合わせて提案できるところも強みだといえる」とホワイトモーション会長でカルソニックカンセイ常務執行役員の石橋氏は述べている。

コネクテッドカーの安全のカタチ

 設立発表後の反応としては「IT業界に比べて、自動車業界ではセキュリティ対策について取り組まなくても大丈夫というような雰囲気はなく、『やらないとダメだ』という意見が多いことは新鮮だ。思った以上に好意的で既に多くの問い合わせが来ている」と蔵本氏は手応えを語る。

 具体的な動きとして、既に自動車メーカーおよびサプライヤーに向けたセキュリティトレーニングが動きを見せているという。石橋氏は「自動車関連メーカーの開発部門や検査部門などに向けて、サイバーセキュリティの勘所や考え方などを示すトレーニングなどを行う一方で、逆に自動車関連メーカーのIT部門に対し、自動車におけるサイバーセキュリティのノウハウや考え方などを示すトレーニングなども行っている。両方からの引き合いが非常に強い」と語る。

 今後に向けては「自動車におけるセキュリティはまだ始まったばかりでどういう形が正解なのかは分からない。その中で、自動車業界およびIT業界の両面で物事を見られるホワイトモーションはユニークな存在だ。ただ、設立趣旨でも述べたように公益性を重視した取り組みを進めたい。IT業界ではセキュリティを実現するのに、1社で囲い込んで全てを解決しようというアプローチはあり得ない。得意分野を組み合わせて最適なコネクテッドカーの安全のカタチを作り出していきたい」と蔵本氏は抱負を述べる。

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