試作材料選びがサクッとできる標準化で無駄をなくそうママさん設計者とやさしく学ぶ「機械材料の基本と試作」(6)(2/3 ページ)

» 2017年09月28日 13時00分 公開

 では、どのように使う材料の標準を決めればいいのか?といったところで、材料選びの基準を「材料品種」と「使用目的」とに切り分けてチャートにしてみました。

「材料品種」と「使用目的」を明確にして標準化する

 まず金属材料の選定は、「軽さが必要かどうか」からスタートします。理由は、軽さを求める場合は「軽量化」という狙いがあるからです。軽量化のメリットは、部品加工におけるハンドリングの良さはもちろんのこと、特に可動部品を軽量化することによって駆動や伝導に使うモーターやシリンダーの出力が小さくて済むので購入部品のコストが下がり、なおかつ装置を小型化できることです。つまり、部品の材料を軽くすることで単に持ち運びが楽になるだけではなく、装置全体のコストも下げられるのです。

 そんなわけで、駆動部品らの仕様とも照らして軽さが必要と判断できる部品ならアルミニウム合金から選び、別に重くたって構わない場合には鉄鋼材料から選定します。鉄鋼材料では防錆の表面処理が必要になるので、それにかかるコストと納期も併せて考慮します。

 以下の図で選定の進め方のヒントをチャートで示していますが、ここで挙げた材料品種は一般的なものなので、実際に標準化を検討する際には各社の生産品目と状況に適した品種を決めてくださいね。

金属材料は、まず「軽さがほしいかどうか」

 鉄鋼材料は、使用目的に合わせて4つに分けます。

  1. 機構部品として汎用で使うもの。
  2. 耐食性が必要なもの。
  3. 耐摩耗性が必要なもの。
  4. 外装用など板金で使うもの。

 アルミニウム材料では、同じように3つに分けます。

  1. 機構部品として汎用で使うもの。
  2. 汎用材よりも強度を高めたいもの。
  3. 外装用など板金で使うもの。

 次に、それぞれの分類について使用する品種を絞り込みます。例えば鉄鋼材料でいえば、基本は汎用材「SS400」と決めておき、それより機械的強度が欲しい場合は、熱処理することを前提に「S45C」もしくは「S50C」を使う。耐摩耗性を求める場合は「SK95(旧:SK4)」を使う……といった具合です。

 耐食性が必要な部品にはSUS304を。SUS304には薄板もありますから、板金で使う材料としてもセレクトしておきます。快削性のSUS303は成分に硫黄を含んでいるせいで溶接欠陥を起こしやすく溶接に不向きなステンレス材料なので、「溶接する部品には採用しない」というお約束を定めておきます。板金用のSPCCは、SS400の薄板の代替としても使えます。

 鉄鋼材料は品種が多いので流通ルートが複雑で、材料屋さんごとに納期やコストが異なることも珍しくありません。そのため常用の品種を検討する際には、お付き合いが長く多少融通がきく材料屋さんに相談の上、とにかく「流通性が良く在庫が豊富なこと」「納期が短いこと」「安いこと」の3条件に合ったものを見つくろってもらい、その中から絞り込むと良いかもしれません。

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