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» 2017年09月29日 13時00分 公開

CAE事例:蓄電池材料の探索におけるマテリアルズ・インフォマティクス (1/3)

蓄電池の材料を探索する方法として、ビッグデータやAIを応用したマテリアルズ・インフォマティクスからのアプローチが増えつつある。ダッソーの講演でハイスループット計算やベイズ最適化を適用した機械学習の適用例が語られた。

[加藤まどみ,MONOist]

 ダッソー・システムズ・バイオビア主催のBIOVIA関連セミナー「マテリアルズ・インフォマティクスによる革新的材料開発―機械学習を使った材料特性予測」が2017年9月13日に開催された。その中で、名古屋工業大学 教授の中山将伸氏が「マテリアルズ・インフォマティクスによる蓄電池材料探索の実際と課題」のタイトルで講演を行った。

 環境・エネルギー問題の解決策を探る中で、より高性能で安全な蓄電池の材料の探索が重要な課題の1つと捉えられている。従来、新材料は優れた研究者によって主に実験的な手法で発見されてきた。だが候補とされる材料は、組成や構造のバラエティが非常に広く、既に知られているものだけでも膨大な量になる。そのため有望な材料の発見は難しく、新材料を発見した際はそれだけで論文になるほどインパクトが大きい。

 リチウムイオン電池の正極、負極および固体電解質の材料候補は、リチウムイオンを伝導できるセラミックスになる。

 リチウムイオン電池の材料候補については、例えば約16万件の無機材料の構造データが登録されているICSDというデータベースがある。ここから候補となるLi-Oを含む材料を取り出すと、5000〜6000件になる。そこから1件ずつ蓄電池に必要な物性値を調べていくのは非常に困難だ。そこでマテリアルズ・インフォマティクスの取り組みが注目されている。

 マテリアルズ・インフォマティクスは材料に情報学を適用し、データサイエンスやAI技術の応用分野として、計算機科学の発展を背景に盛り上がりを見せている。例えば太陽電池材料や半導体材料などの分野での取り組み例がある。

 リチウムイオン電池に求められる特性としては、まず容量、電圧や安全性など熱力学パラメータがある。この領域についてはデータサイエンス的な手法による研究が多く行われている。一方、中山氏が取り組む高速な充放電のような速度論的な面については、計算負荷が高く研究途上にある。

抜き取りデータに対してハイスループット計算

 中山氏はハイスループット計算、機械学習およびベイズ最適化を適用した高イオン伝導性材料の探索について紹介した。流れとしては多数の母集団から抜き取り検査のように一部のサンプルを取り出し、第一原理計算によって物性を計算する。それを元に機械学習によって母集団の物性値を求める式を作る。第一原理計算については計算コストがかかるため、ハイスループット計算を行う。また式の導出の際は効率化のためにベイズ最適化法を用いる。

 中山氏はイオン拡散の算出をICSDのデータベースから取り出したLi-O材料を例にして紹介した。この母集団は5000件に上るため、計算で全てを調べるのは難しい。そこでこの中からランダムにピックアップして計算し、そのデータの傾向から全サンプルの情報を予測する。なお10%のデータを調べるとすれば500件と多くなるので、計算方法も工夫しなければならない。

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