場当たり的な活動を許容する企業風土が長時間労働の要因にキャリアニュース

産業能率大学総合研究所とHR総研が、「日本企業における社員の働き方に関する実態調査」の結果を発表。長時間労働が疑われる企業の風土は、社内調整を過度に重視し、定時に帰りにくいなど、長時間労働を招く要因に該当するものが多かった。

» 2017年10月04日 13時20分 公開
[MONOist]

 産業能率大学総合研究所とHR総研は2017年9月29日、「日本企業における社員の働き方に関する実態調査」の結果を発表した。

 調査対象は、日本国内に事業所を置く企業の人事担当者。そのうち307社から回答を得た。昨年度における正社員1人当たりの1カ月平均の「実労働時間(管理監督者、短時間勤務、みなし労働時間制、裁量労働制の適用者を除く)」について尋ねたところ、全体では「171〜180時間」(29.0%)が最も多かった。次いで「181〜190時間」(20.8%)だった。

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 従業員規模別では、規模が大きな企業ほど法定労働時間を上回る「181時間以上」の回答割合が増える傾向が見られた。1000〜3000人未満の企業は「181時間以上」が55.6%だった。また、「201時間以上」と回答した企業は、300〜500人未満が20.0%、500〜1000人未満の企業の割合が14.3%と、他の規模と比べて多かった。

 次に、風土について該当するものを選択してもらった。その結果、長時間労働の助長につながると思われる「ネガティブ要因」は、全体では「会議や打ち合わせにかけている時間が長い」(64.0%)が最も多かった。次いで「ささいなことでも事前に上司や組織の承諾を得なければならない」(43.8%)、「部門間での縄張り意識が強い」(41.7%)だった。

 一方、長時間労働を抑制するであろう「ポジティブ要因」では、「休みを取ることを悪く言う雰囲気はない」(45.6%)、「社員同士が互いに助け合う雰囲気がある」(39.9%)の選択率が高かった。

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場当たり的な活動を許容する風土が長時間労働の要因に

 実労働時間別に見ると、201時間以上の長時間労働が疑われる企業では、ネガティブ要因の「会議や打ち合わせにかけている時間が長い」「ささいなことでも事前に上司や組織の承諾を得なければならない」「急な方針の変更が多い」「部門間での縄張り意識が強い」などの選択率がいずれも5割超えと、他の企業よりも高い傾向が見られた。

 また、実労働時間201時間以上の企業は、ポジティブ要因の「できるだけ定時に帰ろうとする雰囲気がある」「個人の事情を尊重し合う雰囲気がある」「休みを取ることを悪く言う雰囲気はない」の選択率が他の企業よりも低く、3割を下回っていた。

 社内調整を過度に重視し、場当たり的な活動を許容するような風土、そして、定時で帰ろうとしたり休みを取ったりしづらい雰囲気が、長時間労働を招く要因になっていると考えられる。

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