特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
インタビュー
» 2017年10月12日 11時00分 公開

製造マネジメント インタビュー:プロセス産業でも進む「デジタルツイン」、早ければ2022年にも実現

インダストリー4.0やスマートファクトリーの取り組みは、組み立て系製品だけでなく、石油、化学、食品/飲料といったプロセス系製品も対象になっている。プロセス産業への「デジタルツイン」の適用を目指すシュナイダーエレクトリックは、2022〜2025年に実現できると想定している。

[朴尚洙,MONOist]
シュナイダーエレクトリックのトビアス・シーレ氏 シュナイダーエレクトリックのトビアス・シーレ氏

 インダストリー4.0、インダストリアルインターネット、IIoT、スマートファクトリーなど、モノづくりの効率化や価値向上を図る取り組みが進展している。これらの取り組みは、自動車や電子機器をはじめとする組み立て系製品だけでなく、石油、化学、食品/飲料といったプロセス系製品も対象になっている。

 シュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)の子会社で、工場/プラント向けのソフトウェア製品を展開するシュナイダーエレクトリックソフトウェア(Schneider Electric Software)は、特にプロセス系で高いシェアをほこる企業だ。シュナイダーエレクトリックの設計、シミュレーション、最適化ビジネス担当シニアバイスプレジデントで、シュナイダーエレクトリックソフトウェアを含めたソフトウェア事業全般を担当するトビアス・シーレ(Tobias Scheele)氏は「モノづくりにおけるデジタル変革は、組み立て系のみならず、プロセス系でも進展しつつある。コネクティビティやクラウド、AI(人工知能)をはじめとするアナリティクスなどさまざまなデジタル技術がそろった今、変化をためらっていては、競争力を維持できなくなる」と強調する。

 シュナイダーエレクトリックソフトウェアは事業を展開していく上で、「包括的なバリューチェーン」「リーディングテクノロジー」「オープンシステム」「インストールベース」「エコシステム」という5本柱を掲げている。例えば「インストールベース」であれば、世界約10万のサイトで同社の製品が利用されており、「エコシステム」であれば、4000社以上のパートナー、約16万人の同社製品向けアプリケーションの開発者がいるという。

 シーレ氏は「これら5本柱は、基本的には業界で第1位もしくは第2位であり、現在そうでない場合には、そうなるような計画を立てている。『包括的なバリューチェーン』であれば、生産計画の『Spiral』や、予防保全に利用できる『PRiSM』を買収してきたのはその一環だ」と語る。

シュナイダーエレクトリックソフトウェアの製品群 シュナイダーエレクトリックソフトウェアの製品群(クリックで拡大) 出典:シュナイダーエレクトリック

 国内でも、シュナイダーエレクトリックソフトウェアの製品は、プロセス系制御システムのHMI(Human Machine Interface)開発が可能なソフトウェア「Wonderware InTouch」や、プロセスの設計・解析ソフトウェア「SimSci」などが広く利用されている。

 そんな同社から見て、プロセス系工場/プラントのスマート化はどのような状況なのだろうか。シーレ氏は「インダストリー4.0やスマートファクトリーの取り組みは自動車などの組み立て系が確かに進んでいる。工程が分かる(can see it)組み立て系と違って、can't see itなプロセス系の取り組みは全く異なるが『デジタルツイン』を実現していくという観点では同じかもしれない」と説明する。

「リスクを嫌うプロセス産業は日本以外でも保守的」

 デジタルツインとは、コンピュータなどを活用した設計と解析に基づくバーチャルな世界とリアルな世界を連動させることを言う。リアルな世界からIoTによって得たデータはバーチャルな世界に反映され、そしてまたリアルな世界での活動に役立てられる。

 シーレ氏は「プロセス産業ではプラントを建てて終わりというのが一般的で、その後得られるデータを活用することは少なかった。デジタルツインの観点で、これからは活用を広げるよう提案を進める。例えば、プラントの従業員のトレーニングやパフォーマンスモニターなどは早期に適用できるだろう。プラントのプロセス内のデータを使った予知などは、将来的な取り組みになる」と述べる。

 シュナイダーエレクトリックソフトウェアでは、プロセス産業のデジタルツインを、プロセスの設計からプラントのオペレーションに至るまで一貫して広めていく方針だ。「化学反応から人の動きまで全てをつなげるというコンセプトで、2013年ごろから提案してきた。実現時期は2022〜2025年を想定している」(シーレ氏)という。

 このトレンドは、日本国内でも同じ勢いで進みつつあるという。シーレ氏は「日本は新たな取り組みに保守的という意見があるが、リスクを嫌うプロセス産業は日本以外でも保守的なのは変わらない。それでもプロセス産業でのデジタルツインは進展しているということだ。日本のけん引車になっているのは技術者の好奇心だ。パイピングや液体供給系などのクリティカルプロセスでは好奇心旺盛。当社の提案についても、日本の5社が先行利用している状況だ」と述べている。

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