IoT対応に向けた新たなLAN環境の構築で知っておくべきことネットワーク問題の50%以上が物理層で発生

オフィスや工場などで用いられるネットワークの複雑化や高速化に伴い、それらを支えるLAN配線に対する性能要件がより厳しくなってきた。IoTの登場によってLAN配線に掛かる負担はさらに大きくなりつつある。LAN配線の敷設業者だけでなく、IoTシステム設計者も、LAN配線に関する規格や認証試験のことを知っておく必要がある。

» 2017年10月23日 10時00分 公開
[PR/MONOist]
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 オフィスや工場などで用いられるネットワークの複雑化や高速化に伴い、それらをサポートする情報配線インフラに対する性能要件がより厳しくなってきた。ネットワークの問題の50%以上は物理層であるLAN配線で発生しているといわれており、その性能はネットワーク全体のパフォーマンスに大きな影響を与える可能性がある。

 また、全てのモノがネットワークにつながるIoT(モノのインターネット)の登場によってLAN配線に掛かる負担はさらに大きくなりつつある。IoTシステムを設計する上でも、LAN配線への配慮を怠ればトラブルの種になりかねない。

 今やLAN配線は、企業活動の基幹ライフラインを構成する最重要のファクターといえよう。こうした状況に対応し、LAN配線の性能を担保するメタルもしくは光ファイバーによるLAN配線に関する新しい規格も次々と作り出されており、その重要性は高まっている。

 LAN配線の新規構築、増設、移設、保守を行う配線敷設工事業者やケーブル製造業者はもちろん、工場や電気、鉄道、高速道路といった社会インフラに用いられるLAN配線の構築、保守を行う場合においても、必ずその配線システムやケーブルが業界標準で定められている配線性能に適合していることを証明する認証試験を行わなければならない。

 この認証試験では、試験規格や配線番号の正しい設定から、膨大な数の配線試験にかかる試験時間の短縮、試験が不合格になった場合のトラブルシューティングの容易化、大量に測定された試験データを複数のテスターから速やかに集計しレポートを作成するところまでを、いかに間違いなく迅速に実施できるかが大きな課題になっている。

LAN環境の構築に必須となるさまざまな国際規格

 LAN配線に関わる規格には、幾つかの国際規格があり、それによって配線の性能の要件が定められている。まず、TIA規格は、TIA(Telecommunications Industry Association:米国通信機器工業会)で制定された規格をANSI(American National Standards Institute:米国規格協会)が米国の国内規格として承認したものだ。この米国の業界規格は日本国内でも多く使用されている。国際標準として広く知られているISO(International Organization for Standardization)の規格も1996年に制定された。そして、このISO規格を基に、日本の国内規格としてJIS(Japanese Industrial Standards)規格も制定されている。

標準化団体と規格の関係 標準化団体と規格の関係

 現在、日本国内で標準的に用いられているLAN配線の規格は、国際規格であるISO/IEC 11801とそれを基に翻訳されたJIS X5150、そして米国規格であるTIA-568-Dの3つになる。

 学校や市役所、県庁などの公的な機関でLANの配線を行う場合はJIS規格を参考にする場合が多いようだが、一般の配線工事の場合はTIA規格に適合するかどうかを要求されるケースが多い。これら発行元の異なる2つの配線規格は、最近の改訂版については双方の策定者同士が整合を取るようになってきており、以前に比べ大きな違いは見られなくなってきたが、完全に一致していない部分もある。

 配線規格とは別に、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気・電子技術協会)によって伝送規格(アプリケーション規格)も定められている。これらの国際規格における配線規格とアプリケーション規格の関係は、配線規格が伝送規格に応じた伝送速度を保証し、アプリケーション規格が通信の仕組みについての伝送規格を規定する関係となっている。

 他にも、イーサネットの業界標準化団体であるEthernet Allianceが定めた、伝送速度が1Gbps以上のツイストペアケーブルを使ったイーサネット規格もある。この規格には、規格策定済みの100BASE-TXと1000BASE-T、10GBASE-Tがあり、新たに25GBASE-Tや40GBASE-T、2.5GBASE-T、5GBASE-Tが加わって現在合計6種類になっている。

伝送規格と情報配線規格の関係(上)と伝送規格と情報配線規格のサポート対応表(下) 伝送規格と情報配線規格の関係(上)と伝送規格と情報配線規格のサポート対応表(下)

 LAN配線の構築に携わる配線技術者は、ケーブルテストを行う際に、配線規格や伝送規格などの規格に精通し、配線の敷設、試験、トラブルシューティングおよび性能が規格に適合しているかどうかを確認し、試験レポートを作成して提出するまでのプロセスに習熟しておく必要がある。

 また、注目を集めているIoTに対応可能なしっかりとしたLAN環境を構築するには、LAN配線敷設業者だけでなく、LAN環境を発注する側となるIoTシステムの設計者もLANに関する規格や認証試験方法を知っておくことが重要だ。

認証試験のプロセス全体の効率化に着目した「Versivファミリー」

 メタルおよび光ファイバーケーブルを用いたLAN配線システムの新規構築、増設、移設、保守を行う配線敷設工事業者やケーブル製造業者は必ず、その配線システムやケーブルがこうした業界標準で定める配線性能に適合していることを証明する認証試験を行わなければならない。

 この認証試験では、試験規格や配線番号の正しい設定から、膨大な数の配線試験にかかる試験時間の短縮、試験が不合格になった場合のトラブルシューティングの容易化、大量に測定された試験データを複数のテスターから速やかに集計しレポートを作成するところまでをいかに間違いなく、迅速に実施できるかが大きな課題だ。その上で、できるだけ少ない要員で複数の案件を同時に処理しながら測定と試験、さらにはトラブルシューティングを可能な限り短期間で終わらせることも求められる。

認証試験のプロセス。6つのステップに分かれている 認証試験のプロセス。6つのステップに分かれている

 だが、顧客からのLAN配線に対する速やかな承認を得るためには、単に測定とトラブルシューティングのスピードを上げるだけでは問題の解決にはならない。認証試験のプロセス全体にわたる課題を克服するトータルな効率性の追求が望まれる。

 業界規格に準拠して「合格」や「不合格」の判定情報を提供するツールである認証試験用テスターはこれまで、個別の試験時間の短縮化に的を絞って開発されていた。

 しかし、フルーク・ネットワークスは、これら認証試験のプロセス全体に着目し、試験のプランニングから試験レポート作成、提出に至るまで、全ての作業の効率化に取り組んでいる。

 同社が提供する認証試験用のテスター「Versiv(バーシブ)ファミリー」は、認証試験のプロセス全体の効率化に貢献する革新的な機能として「ProjeX(プロジェックス)管理システム」「Taptive(タップティブ)ユーザー・インターフェース」「LinkWare Live(リンクウェアーライブ)」を新たに搭載した。

 まず「ProjeX管理システム」を使えば、複数の現場の作業を同時並行で進めるような場合でも、それぞれの現場における設定情報や、測定結果をプロジェクトとして一括管理することができる。測定結果の進捗状況や不合格のリンクが残ったままになっていないかなども一目で確認できる。プロジェクト名を選択するだけで設定情報を呼び出せるので、複数の現場の掛け持ちやメタルと光ファイバーが混在した測定にも迅速な対応が可能だ。

「ProjeX管理システム」のイメージ 「ProjeX管理システム」のイメージ

 次に「Taptiveユーザー・インターフェース」は、タッチパネルによるスムーズで迅速な操作が特長だ。直感的な操作によって、操作の習熟に時間がかからない。大きな画面で各種グラフ表示も見やすくなっている。ソフトキーの採用によって、長く複雑なID名も簡単、迅速に入力できる。

タッチパネルでスムーズに操作できる「Versivファミリー」 タッチパネルでスムーズに操作できる「Versivファミリー」

 そして「LinkWare Live」は、Versivファミリーに保存された測定結果を瞬時にクラウドにアップし、管理者や担当者が速やかにその結果をレポート作成用のPCにダウンロードすることができるソリューションだ。SDカードを用いる場合と比べ、測定結果を紛失してしまう可能性が大幅に低減でき、測定結果を保存するためにPCがある所まで戻る必要などもなくなる。複数のテスターを用いるような現場でも、測定結果の収集、管理が行いやすくなる。測定結果に問題がある場合は、解析可能な技術者と測定結果を迅速に共有できるので、問題の解決がよりスムーズに行える。つまり、測定結果の管理が一元化でき、測定の工程の進捗管理が確実になるというわけだ。

「LinkWare Live」によるデータ管理 「LinkWare Live」によるデータ管理

 加えて「LinkWare Live」のアセット管理機能を用いれば、Googleマップ上で各拠点に散在するテスターの所在地が示され、どの拠点のどのテスターがメンテナンス(校正期限およびファームウェア更新)が必要なのかといったアセット情報を的確に確認できる。

モジュールを変更するだけで光ファイバーネットワークの認証試験に対応

 フルーク・ネットワークスは、2004年に市場投入した業界標準ともいえるケーブルテスター「DTX-1800」を、全世界で4万台以上販売し、世界中のケーブル敷設現場で高い評価を得てきた。このDTX-1800の後継機種であるVersivファミリーは、2013年発売の「DSX-5000」の他、2017年2月には最新の配線規格であるCat 8(TIA規格)の認証試験に完全対応する「DSX-8000」が加わっている。

 最新モデルとなるDSX-8000は、Cat 8の認証試験に求められるANSI/TIA-1152-Aのレベル2Gへの適合が認証機関により検証されている。このこともあって、Cat 8の認証試験への“完全対応”をうたえるというわけだ。テスト時間も短縮されており、DSX-5000はCat 6のテストに10秒かかっていたが、DSX-8000は8秒となっている。「DSX-5000も十分高速だが、そこから2割の短縮を実現できた。極めて多くの試験回数が必要になることを考えれば、この2割短縮の価値を理解していただけると思う」(フルーク・ネットワークス テクニカル・マーケティング・アドバイザーの天本英樹氏)という。

 また、DSX-5000とDSX-8000はメタルLAN配線の認証試験に対応した機能を持つが、モジュールを交換するだけで光ファイバーケーブル配線の認証試験にも対応可能だ。データセンターやビル内の情報配線システム、診断系医療機器のLAN配線ではメタルよりも光ファイバーが広く用いられているので、モジュール交換だけで済ませられることは、Versivファミリーのメリットの1つと言えよう。

 光ファイバーケーブルによるLAN配線の認証試験では、ケーブルのEnd to Endの損失に問題のないことを確認するTier1認証と、OTDR(光パルス試験器)を用いてLAN配線に関わる個別コンポーネントの影響まで確認できるTier2認証がある。配線規格の高速化によって、光ファイバーケーブルについても許容される損失が小さくなっており、Tier2認証が求められる場面も増えている。

 Versivファミリーは「CertiFiber Pro」「OptiFiber Pro OTDR」「FI-7000 Fiber Inspector Pro」などのモジュールをそろえており、光ファイバーケーブルのLAN配線の認証試験にも完全対応している。

「DTX-1800」からの買い換えキャンペーンも実施中

 フルーク・ネットワークスでは、世界的に普及したDTX-1800から、最新のLAN配線の認証試験に対応可能で性能も向上したVersivファミリーへの買い換えキャンペーンも実施している。DTX-1800ユーザーの方は、ネットワークの複雑化や高速化に対応するためにも、買い換えを検討してみてはいかがだろうか。

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提供:株式会社TFF
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2017年11月22日